よろしくね、旦那様
綺麗な紅葉が散る季節
今日は私の結婚式
ナルトとヒナタの結婚式は桜が散る季節だったっけと懐かしむように目を閉じていると、私の右手がそっと包まれた
目を開けると隣には私の大好きな人
「どうした、緊張してるのか?」
「ううん、少し懐かしい事を思い出しちゃって」
濃い茶色の髪に深い青色の瞳
今日はトレードマークのマフラーはお留守番みたいだけれど、昔から変わらず私を思い続けてくれる彼が今横にいる
「あなたと出会ってからもう12年だけれど、色々な事があったよね」
「これからもっと思い出を作るんだろ?」
「ふふ、そうだね」
少し自信家な所は師匠のナルトそっくり
それに年齢を重ねる度に益々アスマ先生に似てきてイケメンになるんだから彼女としては少々心配だったりする
「(あ、でも今日からは…)」
柔らかい笑みで私を見つめる彼に温かい気持ちになる
今日から彼女じゃなくて妻になる
私は木ノ葉の猿飛一族の次期当主の妻になるのだ
「ねえ、木ノ葉丸くん」
「ん?」
「私を見つけてくれてありがとう」
「な、何だ…急に」
少し照れたように眉を下げた木ノ葉丸くん
彼が私を見つけたのは8歳の時
それから12年、木ノ葉丸くんが20歳になった今では彼の方が背も高くて、忍としての強さも上で、私が困った時は必ず傍にいてくれて…
そんな彼を好きになるのに時間はかからなかった
「俺の方こそ、好きになってくれてありがとう」
「ふふ、何だか照れるね
…どういたしまして、旦那様」
そう告げれば木ノ葉丸くんが少し熱の篭った目で私に顔を近づけるから軽く制した
「だめよ、口紅がついちゃう」
「…だったら煽らないでほしいんだな、コレ」
「ごめんね、また後で」
しょぼくれる木ノ葉丸くんの頭に手を伸ばせば、少し屈んでくれる
いつの間にか頭を撫でるのが癖になってしまっていたから、無意識の内に屈んでくれてるみたい
出会った頃は祖父である三代目に突っかかるやんちゃな男の子だった彼は、ナルトに憧れ忍として強くなった
そんな彼も中身は変わらず可愛らしいままだったりする
「そろそろ時間だな」
「うん、みんな待ってる」
扉の向こうから聞こえる友達の声
お披露目といきましょうか、旦那様
「マシロ、行こう」
「はい」
拝啓 お父さん、お母さん
私は今日猿飛木ノ葉丸くんの妻になります
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