07.


また一つ、金具を手に入れた瞬間


ガチャリ、と扉が開く音がして振り向く


するとそこには、また獄卒の人が立っていて直ぐに出ていってしまった


あれ?でも、今のって……


「今のは…」


不思議に思ったけど、あまり気にせず校長室を後にした


と、その時。


「あ!!斬島!!」


『あ、平腹さん!』

「なんだ?」


怒った表情の平腹さん。どうして怒ってるんだろう?


「なんだじゃねぇよ!喧嘩吹っかけてきたのお前だろ!」

「???なぜ俺が」

「しらばっくれんなよ!それオレが聞きたいし!」

「分からん。俺は仕事しかしてないぞ。寝ぼけたのか?」

「えー!?なんなの!?俺ちゃんと起きてんだけど!!

でも斬島嘘つかないもんなー。バカ正直だもんなー

しかも白狐も肩に居なかったしさ、アレ何なの?面白いこと始まるの?」

「何の話ださっきから。」

「ちょっと探してくるわ!白狐、またなー!」


と言って、平腹さんは走っていってしまった


「アイツは何を言ってるんだ」

『さあ…。平腹さんって面白いよね』

「…………どうだろうな。面白いのか?アレは」

『うん、面白いよ!今はあんまし喋れなかったけど…』

「そうか。俺はあまり分からんがな」






階段を上がると、明らかにさっきまで無かった穴が壁に空いていた


『わ、これ…』

「なんだこれは?随分深い穴だが………白狐、隠れておけ」

『う、うん』


またポケットの中に入り、こっそり覗く


斬島さんは恐れる様子も無く、堂々と穴に入った


するとそこには、さっきまでの学校とは雰囲気がまるで違う一本道が。


その一本道を抜けると、だだっ広い部屋に出た


其処には1人、獄卒が立っていた


あの後ろ姿、…あの武器、…あれはやっぱり…


「俺を騙るのはお前か」


斬島さんがそういうと、その人は振り返った


凛とした綺麗な青。


「やはり姿は俺か。何者だ」


「……」


「名乗る気は無いか。


ならば力尽くで暴くのみ!」


斬島さんは刀を抜き、一瞬で間を詰めきりしま?さんに斬り込んだ


「なんだ?手応えがない……どうなってる、」




にィ、ときりしま?さんの顔が歪んだ


きりしま?さんが斬島さんに斬りかかった


「!!」

『っ斬島さ、』

「ここは一旦退くか…!」





きりしま?さんから逃げる為に後ろの扉を潜ると、そこはさっきとは全く違う世界になっていた


『なに、ここ……』



すると、廊下に揺れていた火の玉が近づいて来て斬島さんに言った


《お前もつかまったのかい

ご愁傷様

ここはあいつの世界

おれもつかまったのさ》


その火の玉は黙り、斬島さんとポッケにいる私を順番に見た


《お前獄卒か》

「そうだ」

《そっちのお前は……怪異か。こっくりさんだな》

『そ、そうです』

《おまえら強いんだろう?そうだろう?》

「腕に自信はあるぞ。」

『私は、あんまり…』

《…?おかしいな、おれが聞いた話では


こっくりさんは他の怪異とは比べ物にならない強さだと聞いたが》

『…………私は、…強くないよ』

《そうか。まぁ獄卒が居るならどうでもいい

我々が知る情報は教えよう。あいつをどうにかしてくれ

おれたちはアイツに勝てない》

「構わん。どの道奴は対処する。長居するわけにはいかないからな」

《頼んだ。ほかの奴らにも伝えよう》





「白狐、一つ聞きたいのだが良いか」

『んー?』

「先程、あの火の玉が言っていたことだ。

お前、強いのか?」

『……昔の事だよ。大昔の話。私がまだ、普通の人間の大きさだった時の話』笑

「昔は人間の大きさだったのか」

『うん。…ちょっとヘマしちゃってさ、力奪われちゃって。それから闘えなくなっちゃったんだよね』

「それも怪異か?」

『ううん、人間だよ。

その人ね、私のことが見えてたの』


もう薄らとしか思い出せない、昔の記憶


今となっては、笑い話だ。


「……そうか。済まなかったな、変なことを聞いて」

『ううん、気にしないで!それより、…さっきの斬島さんにそっくりな人なんだけどね』

「あぁ。何か弱点はあるのか?」

『この世界の何処かに鏡がある筈。それを全て壊せば、さっきのきりしま?さんは倒せるよ』

「なるほど、鏡か。ここは鏡の世界なんだな」

『そうみたい。…斬島さん、…負けないでね』

「当然だ。」




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