空に届きそうな場所で
「ボスは?」
「今センリツ達と買い物中だ」
ビルの屋上で監視を続ける彼を横目で見れば、吸い込まれそうな蒼色の中に流れる金糸達が一番に目に飛び込んできた。それは其々に光を反射させ、女の私でさえ羨ましく思うほどに輝いている。
――ただ彼の、その双方の瞳だけが暗闇を色濃く映していた。
ズキン......
胸の何処かが痛んだ音がする。
そんな色、貴方には似合わない。
「旅団の一人殺ったんだって?」
そう問えば、彼は自嘲気味にわらった。返事はないけれど、明らか過ぎる答えは予想していた通りのものだった。
「念願の一歩ってわけだ。顔色悪いけど」
「……どうしてだろうな。気分が全く晴れない」
手のひらを眺めながらぼんやりと応える彼は出会った時と変わった。
「クラピカは優しいから。だから、今よりもっと苦しくなるよ」
何時だって現実を見てきた彼は、歯に衣着せるような言葉は望まない。
(大丈夫、私は此処にいる)
心に吐き出したのは、誰に言うことでもなく。
ただ――
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お題:M.I様より
4月22日 灯亞.
×End