小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


01


ロー/甘?



むかし、むかし。
私はハートの海賊団を抜けようとしたことがある。

「街の何処かにいる筈だ、早く探せ!」

ローにも誰にも伝えずに船から下りて、そのまま船には戻らなかった、私を皆は必死に捜したらしい。グランドラインへと突入する前に立ち寄った島。最後の準備。大切な仲間を失う訳にはいかなかったのだとペンギンは言っていた気がする。

その頃、私は自分を捜している皆から必死に逃げていた。否、土地勘がない為下手には動かずに隠れていたのだ、海賊とは本来無縁の場所へ。

「おい、姫……!」

私を一番に見つけたのはローだった。見付かるかも知れない。私を見付ける事が出来るとしたら、それはきっとローだろうな。そんな予感は見事に的中して、凄く怒っていた彼に町外れの教会にて詰問を受ける。頬を伝う汗が視界に入り、増加する罪悪感。胸を締め付けるどうしようもない感情が暴れているのを抑えつけていた。

「何で、勝手に、いなくなった」

激しい戦闘でも乱すことはない息を切らしているローに気付いた時、私は完全に彼の顔を見ることは出来なくなってしまった。大理石の床へと落ちた視線がさ迷う。

「だって、ローは優しいもの」

吐き出した言葉は今にも消え入りそうな呟きではあったが、彼の耳にはしっかりと届いたらしい。彼は眉を潜めていた。

「……だからどうした」

底から上がってくる様な声。本当に怒っている時のローのそれで。怯む自分を心の中で叱咤する。






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