小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


01


スクアーロ?/悲恋




彼女が泣いた瞬間、心が揺れた。

ずっと考えて決めた筈なのに、こんなにも簡単に崩れ落ちていきそうになる。

終止符を打つのはオレ。
それは望んでいたものでも無く、強要されたものでも無かった……。

* * *

正しくは『泣いた』ではない。
それでは最後の時まで、気丈に振る舞おうと頑張っている彼女に失礼に値するだろう。

「他に好きな奴が出来た」

そう告げると、姫は静かに頷いた。

「私よりも綺麗な人?」

実際には、そんな奴はいない。
オレにとって姫より綺麗な奴などいない。

しかし、本当の事を伝えて何時までも引き摺らせるよりは、いっその事嫌ってくれた方がずっと良い。これがオレの建前。

「お前よりもずっと綺麗だぁ」

「そう、だったら仕方ないよね」

姫は立ち上がると、バイバイ。それだけ言い残してオレの前から、姿を消した。
エスプレッソに手を伸ばすと、とっくに温かさを失っている。

「(そういえば、あいつ怒っていなかったな)」

怒ってくれたらどれだけ楽か。
瞼を閉じると流れだしてくる、それをオレは拭えずにいた。


――好きだった。
   大好きだった。

泣くくらいなら、離さなきゃ良かった。

後悔するくらいなら、抱きしめておけば良かった。

でも今は、それが自分に出来た最高の選択だったと信じていたい。

まるで
砂浜に書かれた相合傘
(永遠だと、想っていたんだ)




えらく女々しいスクアーロになりました。結構、言っておいて、自分が引き摺るタイプだと思います。
2月26日 灯亞
お題:なきむしシェリー

解説っぽいもの↓
※嫌な人は飛ばしてください。

時間は、スクアーロが入隊する前。
別れた本当の理由は、危険に巻き込みたくないから。
彼女は、何となく嘘だと感じてはいた。
綺麗かどうか聞いたのは、自分よりもアレな人に盗られるのはムカつくから。

…………小説で、補足説明って(-"-;)
反省します。



×End