01
フラン/甘甘
『真っ白な花』
彼女を例えるとそんな感じ。ミーが触れたら枯れてしまう。
だから触れたくない。
だから避ける様にしてる、のに……。
あなたから寄って来たら意味ないんですよー。
* * *
街中からは少し外れた、静かな場所。
近付いて来た足音は元気良く、それは彼女のものだと告げていた。
「また来たんですかー?姫さん」
ゆっくりと振り向くと、思っていた通りの笑顔があった。若干、息遣いが乱れているのは急いで来たからなんだろう。
彼女曰く、この場所は彼女の家から良く見える道で、尚且つミーのカエル帽子が目立らしい。
……帽子が目立つって、暗殺者としては致命的だと思うんですけどー。
「ミーと一緒に居ると危険ですよー?」
心の中で、「色々と」と言う言葉を付け足す。
姫さんはブンブンと首を横に振っていた。喋ることが出来ない彼女の精一杯の表現。
「ミーの仕事のコト前言ったのに……怖くないんですかー?」
次は、首を大きく縦に振る。
そして、少し考えた様子を見せた後、ミーの手の平に自身の指を走らせた。
『スキだから気にしない』
それは、友達としてか、それとも特別な意味でなのか分からない曖昧な言葉。だけど、紛れも無く姫さんのくれた言葉。
瞬間、胸を苦しい様な、むず痒い様な感覚が襲った。
「本当、もうヤバいですからーっ」
自分で思ったよりも、余裕のない声色。顔を覗き込んでいた彼女の肩に手を当てて、壁に押し付ける。
びっくりした表情を浮かべていた。その中に、恐怖は見られなかったから、少しは安心する。
「これ以上近付いたら、パクッですよー」
あぁ、もう。何で此処で微笑むんですかー。
――ミーは暗殺者。
こんなセカイに存在(い)なかったら、なんて。
世界が終わりを迎える時、君と僕で初めての恋をしよう。
(まさか、キミが境界線をぶち破るなんて、その時のミーには思いもしませんでしたよー)
イイ感じに甘くなったかなぁ、と。
何気に続きがあるっぽい終わらせ方をさせてみました。後は、姫さんの脳内の中でウハウハしちゃってください^^
避けて欲しいと思いつつも、あの道を通ってしまうフランくんの行動は無意識だったらイイと思う。
2月24日 灯亞
お題:なきむしシェリー様
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×End