01
雲雀/甘
「ねぇ、恭弥はアルバム持ってる?」
「……さぁね」
一瞬間が空いて、否定はしない彼に、あっ、持ってるんだなと気付く。
生憎、本棚には立てていない様だけど。
遊びに来た、彼の部屋は相変わらず綺麗に片付いていて感心、感心。
「大掃除の時に見付けたんだけど、はいっ」
分厚いアルバムを開いて机の上に置く。随分とボロ……年期が入っているそれは、ビニールみたいな特有の匂いがした。
「結構、私と恭弥が一緒に写ってるの多いんだよねー」
パラパラとめくって思い出話に花を咲かせる、なんて言ったら何だか大人っぽいけれど、隣にあるのはオレンジジュース。
因みに、恭弥はお茶。
コーヒーは学校で飲み飽きているらしい。普通なら有り得ないけど。
「まぁ、しょっちゅう一緒に居たからね」
今、思い返してみると、確かに、群れるの嫌いな恭弥の割に、私とはよく一緒に居たよなと思う。決して自意識過剰とかではなくて!
「でね、この頃から私、恭弥のこと好きだったなーって……恭弥は何時から?」
「姫よりも、もっと前」
視線をアルバムから外さずに口元を上げる恭弥。
その言葉に何だか熱くなる。恭弥がこっちを見ないでよかった。私、絶対に顔赤い……。
「本当?」
「……多分ね」
実際は……
意識するよりも
もっと早く、気が付けば
――キミに惹かれてたに違いない。
(で、なんで季節外れに大掃除なんかしてたの)(いや……明後日テストだし)(はぁ、鉛筆とノート持っておいで)(了解です、恭弥先生)
BD夢ではないけれど、アップ出来ました^^
一応、雲雀さんと姫さんは幼なじみな関係なのです。
試験が近いと、掃除したくなる……不思議。
5月5日 灯亞
.
×End