01
スクアーロ/甘
早起きしましょう。
例え、夜型人間が如何にも多そうな、ヴァリアーで在ろうとも例外では無かった。
幾ら何でも、小学生の夏休みではあるまいし、朝のラジオ体操は無いものの……朝ご飯は8時、その時間に遅れた者は、例えボスであろうとも、食べさせない。そうキッチリと決められているのだった。
「あー、またスクが起きてない!」
眠気を残しながらも、現在、屋敷内にいる幹部達が席に付いている。
そんな中、一人のメイドがため息を付いた。
「ムッ、姫。スクアーロは遅くまで任務だったからね。仕方ないよ」マーモンは、昨夜の任務が相当ハードだったと、ボスから聞いていた。
その時のボスの顔が、楽しげだったことはスクアーロの精神的健康の為に伏せておく。
「ちょっと見てきますねっ!」
話を聞いた姫は、直ぐに顔色が変わり、スクアーロの部屋に向かった。
「うししっ、多分起きねぇって」
「甘いね、ベル。心配してるんだよ、姫は」「うっわ、面白くねぇ」
走り去る姫の姿を見ながら、ベルは顔をしかめたのだった。
* * * *
「入るよー? ……うわっ」
控え目にノックして、更に控え目にドアを開ける。と、目に映ったのは床に広がる白銀。
余りにも疲れていたのだろう、風呂には何とか入ったものの、ベッドに着く前に寝てしまったようだ。
額辺りが赤くなっている様に感じるのは、きっと気のせい。
急いで身体を調べてみると、特に目立つような傷も無く、姫は安心した。
「お疲れ様です」
パサリと広がった銀を、掬いとると、スクアーロは僅かに身じろぎする。
……可愛い。
「う゛ぉ……」
何回か、それを楽しんでいるとスクアーロは目を覚ました。
姫が驚いて固まっていると、スクアーロは床の感触に顔をしかめ、フラフラとベッドに倒れ込む。
刹那、姫の視界も揺れた――回った、に近い。
「寝る、ぞぉ」
寝ぼけているのか、どうなのか。
気が付くとスクアーロの腕の中にいた。
「おやすみ」
間近にある体温を感じれば、自然と瞼が重くなっていく。
まぁ……スクが起きるまで、ゆっくり寝るとしますか。
目覚まし代わりは君の声
(たまには、二度寝も悪くない)
ベルに「面白くねぇ」を言わせたいが為の話。
因みに、食堂では幹部の皆さんが騒いでいたり、なかったり……(騒ぐとしたら、ベルとレヴィあたり)
2月11日 灯亞
お題:なきむしシェリー様
×End