小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


01


ディーノ/甘?




アジトのロビーのソファに、丸まった姫を見つけ、肩を叩いて、エスプレッソを渡した。
味は、バッチリ姫の好みの物にしてある。

「お疲れ様」

「……ボス」

ロマーリオから聞いた通り、かなり落ち込んでいる様子で、声も沈んでいた。

他のファミリーへ、交渉に行った際に色々と言われて、挙句の果てには、交渉も白紙に戻ったらしい。

ロマーリオは、姫には何の落ち度も無かった、と言っていたけどな。

「ごめんなさい……失敗してしまいました。また、始めからやり直しです」

「そっか」

俯いた姫は、カップをテーブルに置いた。

「オレは、姫が人一倍頑張ってくれているコトは、ちゃんと知ってるし、努力してきたのだって知ってるからな」

「……だから何なんですか」

なんとか励ましてやりたいではなくて、泣かしてやりたいだったら、可笑しいか。

でも……強がりな姫のこと、泣きそうになっても我慢していたんだろうからな。

「まぁ、そういうコトだ。次に上手く交渉すればいいさ」

「……ボスは甘いんですよ」

「ははっ、そうかもな」


何時もよりも、更に小さく見えて姫に、腕を回すと、思った通りにスッポリと納まった。

「子ども扱い、なんて嫌ですからね」

「ん、それも知ってるよ」

背中に回された体温は、震えていた。


強がりな君を泣かす方法





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