01
パウリー/切
長く雨が降り続いていた。
しかし、一番ドックは雨が降ろうが、何時と変わらない。頭の端で金鎚や機械の音が現在進行形で鳴り響く。
何時になったら止むんだろう……。
昨日も、一昨日も。泣き続ける空を見上げていた気がする。
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「ほら、姫。ボーッとすんな」
「あっ……」
不意に肩を叩かれて、我に返ると、心配そうな顔をしたパウリーがいた。
「アイツら、か?」
聞きにくそうにゆっくりと尋ねた彼は、造りかけの船へと視線を向ける。
気遣いからか、言葉の大部分は削られていたけれど、ちゃんと伝わった。
「、うん。カク達が居なくなった日も雨が降ってたな。って思ってさ」
馴染みの四人が一度に姿を消した日。夢であればいいとどれ程願ったか。
それは、ガレーラから立ち上る炎の熱気に掻き消されたけれど。
「そうか」
彼はまた私へと視線を戻した。
「可笑しいよね、あんな事があったのに……ごめん」
上手く笑えているだろうか。霞む視界の中で考える。
「なんで謝んだよ」
皆はケリを付けて無事に帰ってきたというのに、私はまだ取り残されたまま。いけない事だと分かってる……けど。
「どうしても、嫌いになれないんだ」
姫はお人よしだからな、とパウリーは笑った。
ねぇ、いっそのこと全くの悪人だったならば、貴方達を嫌いになれたのに。
(無理に忘れなくてもいいから)(だから、泣くな)
ジメジメです。
吹っ切れないお話。
分かりにくいですが、実際には雨は降っていません。ヒロインさんが泣いてます。分かりにくいですが……。
6月27日 灯亞
×End