01
ドフラミンゴ/甘甘
視界に揺れている緋色の羽。徐(おもむろ)に軽く摘んで見ると、それは直ぐに逃げていった。
するり、するり。
今度は強く摘む。
ぷちり、……抜けた。
抜けてしまった羽を指先で回す。
意外と柔らかいな。
羽の持ち主はやっと書類から目を離して、私の方へ向いてくれた。
「何してんだァ、姫ちゃん?」
「……別に」
彼が座っている椅子は普通の物よりもサイズが大きい。(その他の家具もバカみたいにデカいけど)
何て言ったって、椅子の脚が床に座っている私の肩より上を裕に越す高さだ。
……要するに、彼との目線が全く合わない。
彼もその事実に気付いた様で、溜息一つ落とすと私を持ち上げて自分の膝へと座らせてくれた。
「正面同士とか、嫌なんだけど」
私はコアラか。
膝の上で身をよじる。文句言うなよ、と体勢を戻された。
背中が机でお腹がドフラ。何これ結構キツイ。身体的にも精神的にも、色んな意味で。
「…………」
でもこの密着感は安心するかも知れない。恐る恐る、彼の背中に腕を回す。
「フフフ!珍しい事もあるもんだ」
「ちょっと黙って」
顔を埋めると、更に増す安心感。身を任せて、そっと目を閉じた。
たまには素直になるのも良いでしょう?
(行動のみに限るけど)
もう誰コレ状態。
ドンドン掛け離れていく気が……っ!
ドフラさんの羽を抜きたかっただけです。
そのうち、軌道修正しよっと。
でもコレはコレで、まぁ。
9月21日 灯亞
.
お題提供:)DOGOD69様より
×End