小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


01


スモーカー/サッパリ?



「明日から本部勤務だってな」

「お偉いさんの相手よ。息が詰まるわ」

「そう言うなよ。昇進には違いねぇ」

スモーカーがローグタウンへ異動する前、同期である姫は、一足先に本部勤務となった。

もう会うことは滅多に無くなるだろうから、と行き着きの店に二人で最後に行って乾杯したのだ。名目は、一応祝いと言うことで。


「……で、何で此処に来てんだ?」

今頃、本部でバタバタとやっている筈だと、そう思っていたスモーカーだったが、予想外にも、此処に居る本人を目の前にして当然の疑問をぶつけた。

「ちょっとした……そうね、大人の事情ってやつよ」

サラリと言ってのけた姫にもしかして左遷か? とでも言いた気に眉を顰(ひそ)めるスモーカー。違うわよ、と姫は即座に返し、部下の一人が煎れた珈琲に手を伸ばしながら脚を組み直す。

「嬉しいでしょう? 再会できて」

「どうだか」

スモーカーは鼻先で笑い、煙を吐き出した。部屋の視界が全体的に白いのは今更な事で。健康云々も、またしかり。

葉巻が苦手な者は、スモーカーの部下にはなれないだろうな、と姫は頭の端で思う。

「取り敢えず、よろしく」

「ああ」


なんにせよ、口元が緩んでいた事には互いに気付いていた二人だった。

* * *

「……で、次はスモーカーが行っちゃった、って訳……ねぇ」

あの再会から数日足らず、姫は部下からスモーカーが偉大なる航路に入ったとの報告を受けた。とある海賊を追いかけて行ったらしい。

「あの……大佐を追いますか?」

何を勘違いしているのかは知らないが、目に見えて気まずそうな顔をした部下。

「その必要はないわ。私は此処でやるべきことがあるし」

「それに……」

また逢える気がする。
予感だけど。

姫は、そう付け足し、笑った。

どうせつかの間
(あ、生きてればの話ね)(えっ……)




中途半端な関係。
お互いサッパリサラリ。
でも、何処かで想い合っている……そんな感じが出したかった話。
(出てないけど)

7月18日 灯亞

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お題提供:)DOGOD69様より



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