01
恋次/甘
「恋次の馬鹿やろう」
私は小さく、そう呟いた。
小石を爪先で蹴飛ばすと、石は思ったより重量があったのか意外にも痛かった。ジンジンする。それはまるで今の心の状態を表しているかの様で何だか泣けてきてしまう。涙を堪えようとするが出来ない。
もういい、恋次のせいだ。悪いのはアイツよ。そうだアイツに違いない。
私は、先程まで頑張っていた涙腺を解放してやることにした。
ゴシゴシと勢いよく涙を拭っているせいか、頬が痛くなってくる。拭うよりも、擦るといってしまった方が正しいくらいだ。嗚呼、余計に泣いてしまいそう。もうとっくに泣き出しているのだけれど。
「霊圧出し過ぎだろ、お前」
「知らない、やだ、あっち行け」
何時の間にか現れた恋次に、ため息を吐き出された。
なんだってんだよ、困った風に頭をかいている。イライラが増幅していくのを感じた。なんだってんだ、はこちらの台詞。
「何怒ってんのか知らねぇけど……へそ曲げんなよ、なっ?」
何が何だか分かっていない様だ。理由も分かっていないくせに機嫌だけ取ろうだなんて甘いのよ、馬鹿。
「曲げてない!……分かんないなら教えてあげるけどね、原因は間違いなく、あんたなんだから。何なのあの綺麗なおねーさんは。イチャコライチャコラしちゃってさ! そんなにあのおねーさんが良いならあっち行けばいいじゃない、さようならっ」
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