小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


01


雲雀+10/死ネタ
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僕が任務から帰って来て真っ先に見たのは、冷たくなった姫の姿。それはまるで、眠っているようで。
今にも目を開けて「恭弥っ」と呼んでくれる様な気がした。

「何が……あったの」

直ぐに姫の方に駆け出したいのを堪えて、近くにいた沢田に何があったのか聞く。

僕を見て沢田が俯いた。

「任務の最中で…ミルフィオーレの奴らにっ……オレが姫を…一人で行かせたりなんかしたから…。ごめんなさいっ…」

沢田の頬に涙が伝わる。
拳を固く握り、体が震えていた。

「なんで君が謝るの。さっさと出てくれない?」

わざと感情を込めず、冷たく言い放つ。

そうでもしないと、側にいる沢田に当たってしまいそうになるから。沢田は悪くないことくらい分かる。
――ただ、姫を守れなかった自分が憎かった――

それが、最愛の人との別れ……。

姫が、いなくなってから、自分の周りだけ色が無くなったようで、姫がいたらこうしていただろうと、無意識に思ってしまいう自分に気が付き未練がましい。と思うことも何回もあった。
……もう君はここにいないのに。
どんなに望んだって、君は、もう笑いかけてくれないのに。

それから沢田を始め、たくさんの人物がミルフィオーレの奴らによって消されていった。

「姫っ?」

「き、恭弥?」

かなり驚き、直ぐに駆け寄り抱き締めた。

姫も驚いていて……そして、僕の腕の中で涙を零した。

「私、本当に死んじゃったんだ……」

どうやら他の奴等から話を聞いていて、僕の行動から確信したのだろう。

どうしようか、迷っていると、静かに泣いていた姫が突然、口を開いた。

「私っ、未来を変えます。何年経っても雲雀さんと一緒にいたいから。」

その瞳に宿る光は、確かに姫だった。

「……そうだね。」

変わった未来の果てに、【僕】はいない。そんなことは分かっている。
この世界で【君】を失ってしまった事実は変えられないのだから。

それでも……

戦う理由
(別の世界で【君】が笑ってくれるのならば)(喜んでこの身を戦場へと……)





×End