小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


シャイなあの子の問題点


パウリー/切甘
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「もういい、別れよ」

唐突に切り出した別れに彼は目を丸くして、私を見た。
冗談だろう? そんな言葉が似合う様な顔で。
しかし残念ながら、私は本気。

「なん、でだよ」

彼もその事を理解したのか、真剣な顔付きに変わった。

「分かんないの?」

前から不満だった。
確かに、パウリーが顔に似合わず恥ずかしがり屋だと言うことも前から知っていたし、それを承知で付き合った。
けれど……。

「だって、好きだの一言さえも言ってくれないじゃない」

いい加減心配になる。
本当は好きじゃないのか、とか余計な事ばかり考えてしまう。そんなのはもうウンザリ。
だから、さようなら……それが私の理由。

「言わなきゃ分かんねぇのかよ」

「当たり前」

土埃を掃って立ち上がる。一瞥なんてしてやらない。

もう会わないだろうな、頭の隅で思った。
ガレーラの事務員だった私は、既に辞職届を出してしまったし、アイスバーグさんもそれをもう受理しただろうから。

「……待てよ」

刹那、いきなり背中に軽い衝撃が走った。

がっちりと回された腕に動きを止められたと思いきや、そのまま強制的にパウリーの方へと向かせられる。
睨んでやってもお構いなし、か。

「姫。あ、……愛してるっ、だから」

見るからに真っ赤なパウリー。非難の声はそれに掻き消されてしまった。


「ばっかじゃないの……」

嗚呼!もっと早く言ってよ、だなんてどうでも良くなってしまったじゃないか。

頬に何かが伝った気がした。



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乎布さんへー。
喧嘩で切甘とか難しいわっ、とか思ってたけど意外に書けましたー。
スッゴく頑張った。
ほーめーてー(o^∀^o)
あっ……因みにアイスバーグさん辞職届、受理してません!
「嫌だ」で済ませました設定。
ヒロインの代わりに、パウリーが女々しくなっちまった気がするけど……
うわぁあー。
ではでは。

7月20日 灯亞
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×End