小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


答えは、後で


雲雀/仄々甘
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蒼い空が、視界一杯に広がる昼下がりの屋上。

授業中であるにも関わらず、そこに並盛中生徒の二人が居た。

体操座りをして顔を埋めている女子生徒と、その生徒にもたれ掛かって寝息を立てている男子生徒。

「……ねぇ恭弥は、私のこと本当に好きなのかな?」

「ウン、スキスキッ!」

ポツリと女子生徒、姫が呟くと、予想に反して元気な声が返ってくる。

「ヒバードったら……」

詳しくは、二人と一羽が屋上に居た。

ヒバードと呼ばれた、黄色の小鳥は姫の、頭の上で楽しそうに羽を動かしている。
空を飛ぶ気は無いのか、ピョコピョコと跳びはねていた。
因みに、現飼い主は半分夢の中。

並盛で恐れられている風紀委員長様も、今日は大人しい。

それは昨日の夜中に、不良達相手に、多いに暴れたからなのか……
ただ単に暇だからなのか、どうなのか……
原因は不明。

でも、きっと気まぐれな彼のこと
――きっと、原因なんて、コロコロ変わってる。

「スキスキッ!」
「しーっ、ちょっと声のボリューム下げて!」髪を銜えて、軽く引っ張ってくるヒバードに、人差し指を立てる。

静かにして、のサイン。
しかし……そうやってみたものの、起こしてみたい気持ちが半分と、もう少しだけこの光景を見ていたい気持ちが半分ある。
さて、どうしようか? どちらも捨て難いしなぁ……。

「……ん」

そう悩んでいると、隣で肩がピクリと動いた。
彼が起きてしまった様子。

そういえば、以前に葉の落ちる音で目が覚めるって言っていたっけな。

「お、おはよー。ごめんね? うるさくしちゃって」

「ゴメンネ!」

寝起き特有の色気というか、何と言うか。何時もと少し違った雰囲気を醸し出す雲雀に、何故か、姫は少し緊張する。

「……放課後には、まだ早いな。」

携帯を取り出し時間をみると、今は大体5時限目くらい。

「もう少し寝ていようか……姫」

不意に肩を抱かれ、密着度が増した二人。
微かに息が耳に当たるくらいの距離。
ヒバードは何処かに飛んで行ってしまった様で、もう居なかった。

彼(彼女?)なりに空気を読んだのだろうか。

「おやすみー」

まぁ、こんなのんびりな日があってもいいかな。
姫はそう思い、目を閉じた。

「おやすみ。……起きたら【答え】を教えてあげるよ」

答え? まさか、それはもしかして……。

姫が驚いて雲雀を見ると、
鳥じゃなくて、本人に直接聞けばいいのに。

そう彼は、クスリと笑ったのだった。

くものきゅうそく
(答えはもちろん……)


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朝霧様リクエストの
「雲雀さん仄々夢」でした。
雲雀さんって言うか、ヒバード夢ですね。長らくお待たせして、ヒバード夢って……。
本人様に限り、書き直し希望オッケーですっ!
ではでは、朝霧様っリクエストありがとうございましたm(_ _)m


9月5日 灯亞



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