小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


ぼくだけをみてて


雲雀/甘
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「ねぇ、昨日隣に居たの誰?」

――早朝に行われる風紀委員の見回りから帰ってくるなり、不機嫌な彼がそこ(応接室)にいた。

「どうしたんですか、委員長? そんなに眉寄せて。皺になっちゃいますよ?」

「……質問に答えて」

益々、眉間の皺を深くする委員長。
正直、何故怒っておられるのか全く分からない。

別に風紀に反することはやっていないつもりだけど。


取り敢えず、これ以上委員長の機嫌を悪くさせない為にも、頑張って質問への解(かい)を探す。

後から当たられるのは決まって草壁さんだから。

* * *


「昨日は……あー、ああっ! ……んん? えーっと……」

意味の無い言葉を発しながら探す事、数分。
ヤバい、分かんないっ!

人と群れない委員長とは違って、昨日一緒にいた人なんて何人もいるし。
一々思い出せない……。

「……委員長、怒りませんか?」

「解答次第」

恐る恐る話し掛けたのに、返ってきたのはとても冷淡な答え。

しまった、もう既に怒っていらっしゃるっ!

その事実に気付き、冷や汗が流れたが、口を開いた。

「とーっても言いにくいのですが……その、覚えてませんっ」

ガチャリ

「おわっ!」

雲雀はトンファーを取り出した。

姫は驚き、マヌケな声を上げた。


「っ……! ちょっと待って、仕舞ってくださいーっ」

「言い残す事はそれだけかい?」

口元を上げて笑う委員長。しかし、目だけは笑って無くて怒り継続中だと言う事が一目で分かる。

「言い残す事? あー……あります、ありました! 少しで良いので僅かばかりの弁解を聞いて下さいっ!!」

「……聞いてあげる」

なんとか委員長は愛用のトンファーを仕舞ってくれた。
相変わらず、威圧感タップリだけど。
目を再び開けると委員長は同じ目線になってくれている。
……それでも、オーラなのか何なのか微妙に、威圧感は在るのだけれど。

「それに……君は、僕だけを見ていれば良い」

「……なっ!」

真っ直ぐに囁かれたその言葉。

群れていいのは女子生徒とだけだったなんて初めて聞いたって事や、知っていたのならわざわざ聞かなくっても良いのに……

なーんて、思っていた事が全て吹っ飛ぶ。
その後、暫く顔が熱かったのは言うまでもない。


ぼくだけをみてて
(ほら、返事は?)(は、はいっ)

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雲雀さん夢は比較的書きやすいです、が……雲雀さん、喋り過ぎでしょ?

とか思ったり、思わなかったりー。

余り変わって無いと思いますが……結構気合い入ってます、この作品。
……なんて、解りづらいにも程が有りますよね(汗)

そんな訳で
Blue Love様に
提出です。


10月6日 灯亞




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