小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


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雲雀/幼なじみ甘
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「……から、……って、いや……」

「?」

相変わらず、群れる草食動物達を蹴散らしてきた帰り道。
僅かに付いた血液――もちろん返り血、を振り払いながら歩いていると、言い争うような声が聞こえて立ち止まる。

風紀が乱されている。

立ち止まる理由は、それも含まれているが……何よりも、声が気になった。

それは、幼なじみである姫のものに、酷く似ている気がしたのだった。

「何やってんの?」

急いで、気配のする方向に向かうと、嫌な予感程良く当たると言ったところか、数人の男子生徒に囲まれている姫がいた。

並盛中野球部、山本武の言葉を借りるとするならば……こいつは穏やかじゃねーな、だ。

「ああ?」

制服を見た限り、並中の生徒では無い風な不良達は、物騒な視線を雲雀に向けたが……


2、3秒も経たずに、その額を盛大に地面へと擦りつけることになった。
後から聞いた話によると、歩いていてぶつかってしまい、それを種にいちゃもんを付けられたらしい。


* * *


どうせ家も近くにあることだし、わざわざ別で帰ることもない。
たわいのない話をしながら、一緒に帰路につくことにした2人。

内容は、学校のコト、授業についてや、友達のコト。

殆ど雲雀は、話の聞き手に回っていたが、自分でも無意識だろうか、その口元には確かに笑みが浮かんでいた。

「……ねぇ、恭弥は幼なじみに恋するのって、アリだと思う?」

話題が尽きてしまい、少しの間、静寂が訪れる。
かと思えば、姫は、俯き、遠慮がちに雲雀に尋ねた。

「……別に良いと思うけど」

急な変化に戸惑ったのか、唐突な話のせいか、頭にクエスチョンマークを浮かべながら答える雲雀。

「さっきね、恭弥が凄くかっこよく見えたんだ」

「そう」

たどたどしくも、ハッキリと伝わった言葉。
自然と繋がれていた手には、思わず力が入ってしまっていた。

顔に同じ色を浮かべた2人の頬を、風がサラリと撫でて行く。


その後、どうなったかはまた別のお話。


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遅くなってゴメンなさい。幼なじみ設定、になっているのか心配です。
あっ、でも自分的には少し気に入っていたりします^^
リクエストありがとうございました。

1月26日 灯亞

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