小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


ラプンツェルの憂鬱


スモーカー/企画・甘?
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(18、23……25?)

果たして何歳くらいに見えるのだろうか、鏡の前に映った自分に顰めっ面。せめて、実年齢程には見えて欲しい、切実に。色気も無いし……下手をするとあの人と一緒に行動しているたしぎさんの方が、私よりも彼とお似合いだと思う。(だからと言って浮気を疑ったことは無いし、この間その事を言った時は冗談だったのに叩かれた)

「取り敢えず、背が低いのが嫌です」

勤務時間も終わり、スモーカーさんの部署に駆け込むなり、彼へと不満をぶつける。

スモーカーさんの背が高すぎるのか、私が低すぎるのか……キスをする時に一々私が踵を浮かせて、更に彼は屈まないといけない。それが嫌だった。

「いきなり、どうしたってんだ。薮から棒に」

急な事に驚いたのか、呆れたのか。スモーカーさんの眉間に皺が寄せられた。

「ちょっと思っただけです。牛乳飲めだなんて在り来りな事言わないで下さいよ」

「…………」

どうやら言うつもりだった様だ。急に黙ったスモーカーさん。彼の吐き出した煙が部屋に漂う。付き合いだした頃は、むせて大変だったそれも逢瀬を重ねる度に慣れていった。果たして、それは成長と言えるのだろうか。考えれば考える程、ちぐはぐに思えてくる自分が嫌でついに閉口する。

身長、見た目、年齢……そんな事だけが嫌なのではない、本当は。
いつまでも埋まらない差が嫌だった。力量、視野の広さ、全てにおいて当たり前だが彼の方が遥かに上で。私は彼と対等な存在になりたかったのだ、図々しいんだろうけど。背中合わせが良かった。それなのに……。

「わ、私は」

「別に大人っぽいだの、ガキっぽいだの……そんな事、お前に求めてない」

慰め、だろうか?
ぶっきらぼうな態度は何時もの事だから置いておくとしても、私の言葉を遮ったそれには一概に慰めとは言い切れない何かが存在していた。そもそも彼は慰める事など滅多にしない。それ故に真っ直ぐな人だ。

紡がれる言葉が気になって黙る。

「だが、どうしても……それでもお前が納得出来ねぇってんなら――」

突然切られたことを不思議に思い、顔を上げる。知らず知らずのうちに自分が俯いていた事を知った。

「それなら、お前が納得出来るまで待っててやるから。安心しろ」


――やはりぶっきらぼうに、頭へと乗せられたのは暖かい手の平で、ゆっくりでも良いのだと教えてくれたのは貴方でした。

ラプンツェルの憂鬱

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企画無垢な歳の差様に捧げます!

12月1日



×End