小説を詰めていく場所(Log) | ナノ


01


ルッチ/仄々?



先程、長官から渡された一枚の紙に目を落とす。

『世界政府直々の任務だ。心してかかれ』
と、確かコーヒを零しながら長官は言っていた。その大事な紙が茶色に染まってしまわないか冷や冷やしたものだ。

ともあれ、まだ新人の私にそんな任務が来るのは異例だろう。任務自体は簡単なものだろうが、隠密に済ますことが必須条件で部外者に漏れてはいけない。世界政府のお偉いさんの信用にかかわるのだ。つまり、デリケートな任務。これはきっとチャンスなんだろう。それは漠然とした予感。

自分の力をひけらかしたい訳では無い、ただ……安心して任務を任せてもらえる様になりたい。この任務は自分にとって、CP9にとっても重要なものだ。しかし私は、その気持ちに反比例するかの如く自信が左下がりになっていくのを感じていた。
――要するにプレッシャーに弱いタイプなのだ、私は。

「やっぱ予習大事だよね」

とにもかくも、自室に戻って紙に目を通そう。念入りに準備をしたって、積もり積もっていく不安は拭い去れないけれど、幾らかはマシってもんだろう。

そう考え、廊下を走った。角に差し掛かる。不意に誰かにぶつかったと同時に尻餅を付く。――衝突した相手はルッチさんだった。紙が飛んでいったが、それどころではない。……任務前に死んだな、私。無表情だったルッチさんの口元が上がっていく。勿論それは、ニッコリではなくニヤリ、とだ。目は当然の如く笑っていない。怖っ!

「ポッポー」

あまりのアクシデントに固まってしまったが、それを溶かしてくれたのは意外にも白い鳩、確か名前はハットリさんだった。彼は口に私が落とした紙を加えていた。




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