01
ドフラミンゴ/仄々
「何で此処にいるの鳥頭」
腰に違和感を感じて跳び起きると、目の前は一面ピンク、ピンク、ピンク。
「朝から連れねぇなァ、姫ちゃん。仲良くしようぜ」
頭に銃を突き付けられていても、なお笑顔のドフラミンゴがいた。是非とも気のせいであって欲しいが、浮かべているそれは益々深まった様にも感じる。
「仲良く、ねえ……。貴方が私の上から退いて尚且つそのまま海へ飛び降りてくれる、ってなら考えて上げてもいいわ」
グリグリと銃口で頭を突く。
二メートル以上もある大男。しかし幸か不幸か、その頭は今私の胸元にある。そのまま引き金を引けば奴はおだぶつ。本当、海に飛び込んでしまえば良いと思う。海水浴だァとでも叫びながら元気よく飛び込んでしまえば更に良いと思う。
「フフフッ! そん時は姫ちゃんも一緒に、だ」
何でだ。可笑しい、絶対に可笑しい。今の流れでどうして一緒にダイブの流れになるんだ。何で顔を押し付けてくるんだ。
「別に構いはしないわよ。私は貴方と違って泳げるんだから。溺れるのは貴方だけよ 」
どうだ参ったか。
私は至ってノーマルな海兵の一人に過ぎない。でも、だからこそ泳ぎは得意だ。
「おれは溺れない」
けれど、やっと得た余裕は直ぐさまにひっくり返る。
「は? だって貴方は能力者でしょ。能力者は溺れるものよ」
能力者が海に弱いなんてことは常識で、だからこそ先程の台詞を吐いたのだ。しかし、余りにも見慣れない、彼の真顔はその事実をデマだと錯覚させてしまう程の威力。……一瞬だけだが。
「気になるか?」
「はったりよ、どうせ」
「気に、なるよなァ?」
聞け、私の話を。
「え、ええ」
フッフッフと笑い出したドフラミンゴ。一体何なんだ、気持ち悪い。
「おれは既に溺れてるからなぁ、姫ちゃんに」
「…………」
やはり、真顔の彼だった。
こんな奴、大嫌い!
(一瞬ドキリとしたのは絶対に秘密)
久々の短編。
ドフラさんは臭い台詞でもアッサリ言ってしまいそうです。5月4日 灯亞.
×End