03
「夢でも見てたんでしょ?」
「本当だってばー!」
下校中、幼稚園の頃から一緒にいる友達、所謂幼なじみにあの出来事をふと話した。その反応は当然といえば当然な反応。ジュース片手に歩く幼なじみはケラケラと笑った。あやしい、といった疑う様な風でもなく、完全に冗談だと思われている。ライトノベルで良くあるような話。まさか白昼夢を見ていた訳ではないだろう。でも何かの拍子でついてしまった傷も残っているし精神面的にも別に異常はないから、本当の話だ、多分。
……まさか友達の言うとおり、夢を見ていたのか?
そうだとしたら、いよいよ本格的にヤバいだろう。落ち着いて深呼吸を一つ。
――不意に黒い人影が目に入った。変わった黒い着物、その両袖は破けている。
「あーっ、あの人だよ69の人っ!!」
あの男の人だった! やっぱり夢じゃない。私の精神はまだ大丈夫。胸を撫で下ろす、と共に走り出す。向かう先は勿論あの男の人。彼は走っていた。
「ごめん、先帰ってて」
「ちょっ、姫!」
友達をその場に放置して彼を追いかける。脇目も振らずに一心に。
「姫、とうとう一線を越えてしまったか……」
だから友達のその呟きさえ耳には届かない。この後、この友達と私の間に微妙な空気が暫くの間流れることになるが、この時私はそんな事知るよしも無かった。
be continue...
修兵の中編いきなり始まります。
昔書き溜めてた奴が出て来ました。
8月12日 灯亞.
:)お題提供
JUKE BOX.様
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