02
「じゃあな、今度は引き継ぎ、ちゃんとやっておくから、幸せになれよ」
立ち去ろうとする修兵さんを咄嗟に掴む。
「ちょっと、ストーーップ!!」
僅かに指へと掛かった着物の袖を手繰りよせて思いっ切り引っ張る。
「言い逃げなんか狡いんだからっ! 私と約束したんだ、って言ってたよね。だったらそれ、ちゃんと守ってよ」
「俺にはそんな資格はない」
修兵さんが振り切ろうとする。でも、離しちゃ駄目だ。
「そんなの関係ないよ。今も昔も修兵さんは傍に居てくれてたんでしょ!? だったらっ!これからも、居て、欲しい……です」
逃せばきっと、もう二度と会えなくなってしまう。
「それに、私とその人は同じじゃないけど……その、修兵さんのこと、好きだって言うのは一緒だから」
今まで居てくれたんだって知ってしまったら、どれだけ大切に思っていてくれたのか知ってしまったら――退屈な日常にはもう、戻れない。
「だから、今度は私をちゃんと見て」
ああ、重いものを背負わしてしまったのは私かも知れない。一方的な我が儘なのかも知れない。
それでも出会えたから。重なったから。
「ありがとうな。……改めてよろしく」
"貴方が笑ってくれたから"
――取り敢えず
片恋以上、相愛未満から始めませんか?
Fin...
サイト初の完結作品。
色んな意味で驚きです。
突っ込み所満載だけど書き切りました。
感慨と共に安堵感です。
少しでも楽しんでもらえていたなら嬉しいです。
お付き合いありがとうございました。
9月18日 灯亞.
←→