03
生まれてこのかた十数年、私の心臓今までに無い程に激しく暴れ回っていた。
きっとこんな状態を早鐘を打つって言うんだろうなー。
鐘を連打か……風流も何もあったもんじゃないわ。
取り敢えず、落ち着こうと上を向くと、目に入ってきたのはドアに掲げられた「応接室」のプレート。
……嗚呼、逆効果だ。
即座に、反射的に目を閉じる。
そういえば、極限に緊張した時は我慢せずに「自分は緊張しているのだ」と一回声に出してみれば良いのだぁ!
と誰かから聞いた事がある。誰だったっけ?
スー……よし息を吸って、準備オッケー。
「わ、私は緊張しているーっ!」
「……へぇ、そうなの」
「はい、そうなんです……って……ええっ!!」
目を再び開けると、目の前には雲雀さんがいらっしゃった。
絶好のチャンス到来?
って、逸れよりも雲雀さんが返事したって事は、さっきの聞かれたって事だよね。
「あの、忘れて下さいっ」
「嫌だ」
……却下された。それも見事に即答。
やっぱり、風紀委員長様は反射神経が素晴らしい。
「で、姫。そこで何してたの? 場合によっては……」
「いえっ! 怪しい者とかではなく、純粋に雲雀さんに伝えたい事があって来たというか……」
やっぱり恥ずかしい。
頭がバンッと逝きそうだ。雲雀さんは口元を上げて笑ってるし。
ええい、ままよ。
一気に言ってしまえ。振られたとしても、どうせ転校だ。言わなかったと後悔するより、ずっと良い。
「私っ、雲雀さんの事好きでした!」
一世一代の告白。
「明日転校しちゃうから、それだけ伝えたかったんです。さような……らっ!」
なんとか言い切って、走りだそうとしたら腕を掴まれた。
「ワォ。言い逃げかい? 」
「えっ?」
掴まれた腕をそのままに思いっきり引かれて、壁の方へ追いやられる。
「ねぇ、僕も好きだ。って言ったら、どうする?」
「えぇええっ!?」
…………
……
「ってな訳です」
「えぇええっ!?」
さようならの予定日だった朝。普通に登校。何時もの曲がり角で出会ったツナに事情説明をしていた。
「声でかいって、ツナ」
「で、転校はどうなったの?」
「それが……雲雀さんが親に話して解決。お母さんがあの人に任せれば安心だわって。で、私今日から雲雀さんの家に居候することになったの」
「えぇええっ!?」
だから、驚くのは分かるけど声がでかい……早朝から近所の皆さんごめんなさい。
「まあ……何がともあれ、めでたしってこと?」
まぁ、夢小説ですし……。皆さん、夢見ましょう
(o^∀^o)
この話しのポイントは、雲雀が姫さんの名前を既に知っていたって所ですね。
3月24日 灯亞
お題:なきむしシェリー様
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