掴んだその手 | ナノ



掴んだその手6

「……あー、アルバス。その辺にしといてくれないか。お主の気持ちは分かるが、王妃が震えておるのでな」

見兼ねた陛下が言うと、アルバス様は何も言わずに男の人を氷漬けにしてからこちらに振り向いた。

「驚かせてしまいましたね」
「ぁ、いや……大丈夫、です」

アルバス様は先程の怒りはどこえやら。部屋に掛かっていた魔法を解くと僕に近づき跪いて儀式の続きを始めた。

「我が名はランウェル・アルバス。我が力、我が命の全てを――――……」

ウォン……と紫と青の陣が浮かび、アルバス様が胸に手を当てたまま僕を見る。
歌うように続く契約の言葉を初めて聞いたけど、つまりはアルバス様の全部が僕のものになる……みたいな内容だった。
そ、そんなこと許されるの?これに応じてしまったら、アルバス様の力が弱くなっちゃうとか……

「何も心配することはありません。私の力が弱くなることはあり得ませんから」
「あ、そうなんですか……」
「あなた以外と契約できなくなる、なんてこともないですしね」

にこりと優しい笑みを向けられて、ならいいのかな?と思う。
こんな綺麗で強い人が僕のものになってくれるなんて、僕の一生分の幸せを使い果たしたとしても、後悔しない。
つらつらと言葉を続けていくアルバス様には申し訳ないけど、正直言葉が難しすぎて理解出来ない。
けど、僕の意思は最初に僕を選んでくれたときから決まってるから……いいんだ。
 

(121225)



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