掴んだその手 | ナノ



掴んだその手5

どんどん言い争いは荒く(アルバス様は至って冷静だけど)なり、室内の空気がどんどん下がっていってる気がする……。
誰か止めてくれる人はいないのかと周りを見て今更気づいたけど、僕の後ろにいるのって……国王陛下じゃない?
あれって玉座ってやつだよね?だって一番高いところにどっしり座ってるし、隣に王妃様っぽい人もいるし。
陛下と王妃様の両隣にいる王子らしき人物達は何故か愕然とした表情でアルバス様を見てから、僕を凝視していた。

「おい、お前!位階と属性を言え!」
「え、えっと、低位精霊の水、です……」
「っは、低位だと?ただのクズじゃないか!」

どうしていいのか分からずにいると、急に男の人が目を吊り上げて睨んできた。
動揺しながら答えると、馬鹿にしたように鼻で笑われて尚更へこむ。
なにも、そこまで言わなくてもいいじゃないか……段々腹が立ってくる。
苛々と睨むと、空気の温度が明らかに低くなったのが分かった。これは確実に魔力だ……しかも水属性の中で最上級の氷魔法。

「おい、名前を言え!お前と契約してやる、光栄にお……っ!?」

これにはカチンときた。でも反論する前に膨大な力が流れ部屋全体がバキィッと氷で覆われてしまって。
一瞬で氷らせるほどの強力な力を持つ人は、この場では一人しかいない。
これには流石に驚き、慌てた男の人はアルバス様に視線を戻す。

「私の精霊に向かっての数ある暴言とその態度、あまつさえ私より先に名を訊き"契約してやる"……だと?」

……あれ?まだ契約成立してないよね?なんで既にアルバス様の精霊になってるの、僕。
いや、すごく嬉しいけどね?だってこんな僕で良いって言ってくれてるんだよ、こんな嬉しいことない。
だけど、あの……そろそろ魔法消さないと、王子様達の顔色が悪くなってるんですけど……。
 

(121225)



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