鷹の眼 | ナノ



02

俺たちが食堂に入れば、既に中にいた生徒たちからざわめきが上がった。
転校生に堕ちた奴らへの、“黄色い”悲鳴と、俺と転校生に対しての罵詈雑言。
男子校なので恋愛対象が男に、しかも美形に行くのは仕方ないとしても。仮にも御曹司達がすることじゃないだろう。
慣れてしまったそれだけど、やっぱり嫌なものは嫌だ。
けど転校生は一向にそれに気づくこともなく、副会長に誘導されつつ席へとついた。

「宏樹は俺の隣な!」
「あぁ……うん」

無理やり横に座らされた俺は、役員や不良+爽やかくん……もうめんどくさいから纏めて『信者』にする。
信者(書記除く)からテーブルの下で蹴られ踏まれまくりながら、備え付けの機械で料理を頼んだ。
食堂に来たのは入学して以来四度目だけど、機械とか…どんだけなの。
やはり金持ち学校のため、とにかく金がかかる。食事をするにも定食を食べるのに最低2000円はするから、俺はもっぱら自炊派だ。おじさんからお金は十分すぎるほど振り込まれているけど、それを使うのは申し訳ないから。
だけど転校生が来てから逃げられた場合はいいけど、今日みたいに捕まってしまった場合はとにかく一番安いものを頼むしかない。毎度頼むのは麺類か丼物で、今日はうどんにする。素うどんのくせに800円もするのだから信じられない。

べちゃべちゃと唾を飛ばしながら喋る転校生を優しく、愛しいというように見る信者。
尊敬した気持ちを返してほしいと思ったけど、よくよく考えたらこんな宇宙人みたいな人間を好きになれるんだもんな、そこは尊敬したままだ。
転校生、信者達、俺の順で来た料理。わざわざウェイターさんが持って来てくれるんだよ、凄いよね。しかもどの人も美形ばっかり。
当たり前のように料理に手をつける信者達とお礼という概念すらない転校生。これが本当に大企業の御曹司たちなのだろうか。
小さくありがとうございますと告げれば、目元のほくろが何とも素敵なウェイターさんは少し屈んで「こちらこそ、いつもありがとうございます」とにっこり微笑んでくれた。
ここのウェイターさんたちは本当にいい人ばかりだ。


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(121014)




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