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「……四、鷹峰の手足となる」
無様に身体を震わせ、今まで生徒会長として誰よりも強い力で君臨していた俺も、この様だ。
全ては自業自得だが、命を覚悟に鷹峰と視線を合わせる。
無表情のまま拳銃を下ろした鷹峰は、部下三人に智を拘束させた。
「四じゃ、駄目……ですか」
普段通りの口調を改めると、スッと片眉が上がる。
「うちには十分な人材が揃ってるが」
「分かっています。だが我が家も他の家も、捨てるのは少々惜しくありませんか」
きっと、この男のこと。今すぐにでも各家を消す準備が出来てるはずだ。
そうなれば父は俺を勘当したって意味がなくなる。家そのものを守らなければ、この先はない。鷹峰の支配下に置かれれば、幸い力はある家だ。下手な考えを起さなければ命の期限は長くなるはず。
「鷹峰の駒ということは、三を命令した場合の拒否権は完全に無くなるぞ」
「…………それでも、」
命令されれば断れないのも分かってる。ただ自分が"決めた"訳じゃなく、"命令"として行くのとではくだらないと思われようが、違うのだ。
そうなれば俺は何も言わず従う。それが、自分が犯した罪を償う為の手段なのだから。
父には何度でも殴られよう。夢から醒めた今、辛うじて俺に出来ることはこの選択をすることだけだ。
「――家でおとなしくしているんだな」
本当は殺したかったのだろう。心底どうでもいいというような口調で食堂を出て行く。
その後ろから部下が続き、智も気絶させられ連れて行かれた。
俺達を囲むように見ていた生徒らが、未だ静寂を守る中。
完全に座り込んだ俺は、自分のした事、これからの事を思い自分の愚かさに打ちひしがれた。
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