18
俺に、鷹峰は見下すようにして銃を向けた。
「俺のものを随分傷つけてくれたみたいだな?」
「っ、……!」
表情などない。笑うこともなくなった鷹峰の気迫に、自分の命が終わったことを悟った。
同じように他の奴らも完全に尻を床につけ、今にも気を失いそうだった。
「直人!なんで突き飛ばすんだよ!酷いじゃんか!!さいて……っ!」
「うるせえ!お前は黙ってろ!!」
智の異常さに、今更気づいたって手遅れなことは分かってる。
喚く智に怒鳴れば、泣きながら最低だと言われる。何故こんな人間に執着していたのか、まるで目が覚めたように現実は残酷だった。
「撃ちはしない。撃った時の衝撃は強いからな、宏樹を起こしてしまったら可哀相だろう?」
さらりと言われたそれに、すぐには死なないことを喜べばいいのか、すぐに死ねなかったことを嘆けばいいのか。
智は未だに俺を責め、そして鷹峰に食って掛かる。正直もう、ここまでくれば智の生死も分からないうえ、まず自分のことで手一杯すぎて止める気も起きやしない。
「お前っ、こんなことばっかしてるから友達がいないんだぞ!俺が友達になってや…」
「五月蝿い。二度と口を開くな」
立ち上がった智に、鷹峰の周りにいた部下らしき男達が銃を向けたのを、ただ見ていた。
何かが振り切れたのか、感覚が麻痺してしまったのだろう。
「そ、そんな危ないもの持ってちゃいけないんだぞ!それに叔父さんだって黙ってない!叔父さんは理事長なんだっ、すぐにっ…!!」
音は聞こえなかった。
なのに、智の右腕のシャツが弾丸によって裂かれるのを確かに見た。
鷹峰の後ろにいた男、気づかなかったが潜入していたのだろうウェイターの格好をした男の銃が煙を上げていた。
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