鷹の眼 | ナノ



16

「人の大切なものを傷つけるお前を、可愛がれと?」

鷹峰が嘲笑い言えば、なにがおかしいんだ!と智が噛み付いた。
今までであれば、媚を売らない強気な態度が好まれ許されていたのだろうが、鷹峰にそれが通じるはずがない。むしろ、それを許していたほうがどうかしている。

「宏樹は親のことを言われたくらいで泣くような奴だぞ!そんな弱いやつより俺のほうが強いし、お前にふさわしいんだ!!」
「…………くらい、だと?」

ビキッと鷹峰のこめかみに青筋が立つ。
智をもう、誰も止めない。止めようとしない。あれほど執着していたはずの生徒会役員達も唖然と、そして絶望を映した目で彼を見る。
それに気づかない智は更に言葉を続けるが、鷹峰が隣にいた部下に視線を移したのを見て「俺を見ろよ!」とまたも神経を疑うような発言をした。

「お前はもう駄目だな。この世にいてはならない、息をしていてはならない」
「……は?なに言ってんだ?っつーか早く名前教えろよ!俺が聞いてんだから答えなきゃダ……っ…」

今や鷹峰と智だけが喋る食堂に、カチャリと、冷たい音が響く。
流石の智も、間近で銃を突き付けられて黙った。

「こんな奴が分家にいるなど信じられない。確かにあそこは腐り切っていたが、まさか俺に歯向かうとは思わなかった。……なあ、間宮?」
「――……はい、ボス」

クックック……と噛み殺したような笑いを零す鷹峰の目は、決して笑ってなどいない。
後ろに控えていた間宮は主の問い掛けに是を返し、冷や汗で冷たくなった手のひらを握った。
 




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