鷹の眼 | ナノ



08

宇宙人のような転校生に、どう見ても無理やり食堂に連れられてきた彼の顔はとても疲れていた。
転校生に好意を持つ生徒会役員などが、彼を憎々しいというように鋭い視線を向けているのを見て、なんて浅はかな奴らだろうと嘲笑する。
彼はそれらを一切無視して、何故か真剣な目で料理を注文するための機械を睨んでいる。ボスから何にでも使えるようにと小遣いとは言えない多額の金が振り込まれているはずだから、金に困っているわけでもないだろうに。
だが、彼が注文したのはこの学食で一番安い、800円の醤油ラーメンだった。たまたまかとも思ったが、それが三度続けば彼の印象はぐんぐんと上がった。
 
「間宮、これ113番テーブルにお願い」
「はい」
 
今日は800円の素うどんだ。思わず零れた笑みを隠すように口元に手を当てると、調理担当で同じくボスの部下である芝も笑っていた。
 
「もっと贅沢すればいいのになあ」
「ボスの金を使いたくないらしい」
 
三度目に食堂へ来たとき、偶然彼が座る席の後ろを通った。その時に「おじさんに申し訳ない……」と呟いていたのだ。注文機に映されていたのは定食の欄で、「高すぎる」……と。
 
「じゃあ頼むな」 

芝に頷き、他のウェイターたちと共にテーブルへ向かう。
彼と同じテーブルにいるのは一応この学園のトップと特待生たちなので、料理を持っていく順番が決められている。
激しく納得いかないが仕方ない。ここで問題を起こせばボスに殺られてしまうからな。



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(121026)



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