鷹の眼 | ナノ



07

あの子、坂下宏樹くんの存在は突然浮上した。
俺たちのボス――鷹峰冬嗣という男は冷酷非道な鬼のような男。それは仕事関係でもプライベートでもそうだ。
あの日、突然「楠森学園へ行け」と命令されたときは、本当に驚いた。
ボスはとにかくイイ男だ。美貌も金も権力も何もかも持っている。となると、当然女も男も擦り寄ってくる。ボスはそのどれにも興味を示さない。性欲処理に使いはしても、それ以上の感情はない。
だから、施設で見つけた男の子を援助し、身内でのごたごたを終わらせ迎えに行くまでボスの家が経営している学校の一つ、楠森学園に通わせると言われたことも。
その命令の「坂下宏樹を見守るように」という意味も、瞬時には理解できなかった。
 
坂下宏樹が入学して一年経つが、まだ一度も会っていない。
何故ならば彼は一度も食堂に来ないからだ。俺はウェイターの一人として学園にいるため、基本的に食堂に彼が来なければ会えない。学園や寮内をうろつく訳にもいかず、それをボスに伝えると、沈黙しか返ってこなかった。
とにかく報告を続けながら出来るだけ彼を探しながらウェイターを続け、暑くなってきた7月、ようやく坂下宏樹を見つけた。



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(121026)





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