一万打感謝企画 | ナノ



03

「三葉、教えてくれ」
「ちょ、ちょっと待ってください!な、なんで僕の名前っ……」
「三葉、お前が好きだ。お前好みの髪になるようなんでもする。だから俺と付き合ってほしい」
 
なにがなんだか分からなくて、話の展開が速すぎてくらりと眩暈がした。
 
「三葉」
 
今にも膝から崩れ落ちそうな僕を、先輩の手が支える。
ぐい、と強く引き寄せられて先輩の香りが脳を揺さぶった。
 
「好きだ、三葉」
「先輩……なんで、」
 
分からない。子供みたいに頭を嫌々と頭を振って見上げると、先輩は口角を上げて僕と共にその場に一緒に座った。
 
「最初は笑顔、次に雰囲気だった。にこにこ笑ってる顔が可愛くて、あったかい雰囲気がいいなって思ったんだ。隣にいてほしいな、いてくれたら安らげるだろうなって」
 
顔と言わず身体までもが、どんどん熱くなるのが分かる。
カァ…と真っ赤になった顔に、先輩が眦を下げた。
 
「知り合いから、三葉はふわふわしたものが好きらしい、それは髪でもあり得るって聞いたから結んでみたんだ。そしたら今まで見もしなかった俺を、見てくれるようになった」
「っそんな!だ、だからいきなり……?」
「そう。俺の髪でもいいんだって思ったら嬉しくて、二年の廊下まで行って三葉を待ってた。だけど全然話し掛けてくれなかったな……」
 
だってそれは、先輩は人気だし……ファンクラブとか……。ごにょごにょと言葉を濁すと、先輩は苦笑した。
ていうか、僕の癖バラしたの誰だ……!
 
「分かってる。だけどあの日、倒れそうになった三葉を助けてもあいつらには何もされてないだろ?」
「、はい」
「俺が頼んだんだ。俺が一方的に好きなだけだからって」
 
頭も下げた。と笑いながらいう先輩は、さして問題ないかのように言う。
僕にとっては大問題なのに!先輩がファンクラブに頭まで下げてくれるほどの人間じゃないです!
 
「僕で、いいんですか……?」
「三葉じゃなきゃ駄目なんだ」
「…………僕も、先輩がいいです」
「それは俺の髪が、ってこと?」
「ち、違います!確かに髪もですけど、……先輩がす、きなんです」
 
ドキドキうるさい心臓が先輩に届いていないか心配しながら言えば、先輩はくしゃりと相好を崩して僕を抱き締めた。
 
 
end.




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テーマ「人外ファンタジー」
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