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僕と鈴木くん5

どれだけ振り払おうとしても離れない転校生に苛立ち、遂にはガンガン蹴り出した鈴木くんを止めたほうがいいのか…、というか本当にこれは鈴木くんなのかと悩んでいたとき。
バァン!と凄い音を立ててドアが開いた。

「ようやく、ようやく見つけた!!」

入ってきたのは副会長様で、その後ろからは他の役員様方もいた。
ぜぇぜぇ肩で息をしている皆様はギロリと鈴木くんを睨んで、大股で近づき指差し叫ぶ。

「あなたねぇ!僕達がどれほど、ど・れ・ほ・ど!探したと思ってるんですか!突然「俺は学生だ。学生の本分は勉学と恋と恋だ。だから俺は成就するまで生徒会室には来ない!」って叫んだと思ったら本当に次の日から来なくなるし!仕事はいつの間にか持っていってたみたいですけど、あなたが来なきゃ受理できない書類があるんですよ!?僕達が各方面にどんだけ頭下げたと思ってんだこのバカヤロー!」

眦を上げて怒っていたと思ったら泣き出してしまった副会長に、副会長のファンや他のクラスメートがオロオロしだす。
対して怒られた(?)当人の鈴木くんは「悪かった悪かった」と、至極軽い返事をして

「とりあえずこれ、駆除してくれ」

と言い、会計様と書記様に転校生を腕ごと差し出す。
ため息を吐きつつ転校生を引き剥がした二人は、「お前らの気持ちは嬉しいけどっ……でも俺はす、鈴木のものだからっ…」と照れ笑いをした転校生に本気で引きつつ、暴れる身体を押さえながら教室から出て行った。……生徒会の皆さんって転校生に堕ちたんじゃないのか、な?

「……で?あなたは何がしたかったんですか」

ようやく静かになった教室で、副会長がハアァ…と大きく息を吐いて両手を腰に当てた。

「生徒会長である人間が、突然姿を消したと思ったら何故Aクラスにいるんですか。あなたはSクラスの生徒でしょう。しかもそんな野暮ったい格好までして、頭のネジでも飛んだんですか?」

鈴木くんは黙ったままなので、容赦なく副会長の毒舌が飛んで行く。
僕は思わず窓の外を見つめた。今日もいい天気だ、こんな日は中庭にあるベンチで本を読みたいな。そうだ、そうしよう。何故か視界が曇り始めて、折角の青空が見えないのが残念だけどね。




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