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僕と鈴木くん

僕の通っている男子校には、所謂ホモが多い。
イケメンや美形は当然大人気で、特に権力やお金持ちの人なんかはアプローチされまくってるほど、凄い。
そんな学校で僕は地味分類だから、教室では一人で静かに読書をしていることが多い。だからかクラスではあまり喋りかけられたりしない。
というのも、何故かこのクラスには可愛い子が揃っているからだ。ぽつんと一人浮いている僕に、話しかけてくる生徒はいない。

「おはよう、鈴木くん」

でもそんなクラスだけど、一人だけ僕から話しかけ、答えてくれる生徒がいる。
鈴木栄太郎くんと言って、鼻に掛かるほど長い前髪とうっすらとしか目の見えない眼鏡を掛けている少し変わった人。
正確にはAクラスで浮いているのは僕と、彼の二人だったりするんだけど。
鈴木くんは三年になって初めて同じクラスになった。
いつも朝早くからクラスにいて、でも一日中一人で過ごしている。僕以外と喋ったところを見たことないし、急にいなくなっていることも多い。

「……おはよう」

窓際一番後ろの席でいつも大抵俯き加減に座っている彼は、僕と話すときはちゃんと顔を上げてくれる。
鈴木くんは声がとても綺麗。特に朝なんかは掠れてて凄くセクシーだったりで最初に聞いたときは密かに顔に熱が篭ったくらいだ。

まだ誰もいない教室で、真ん中辺りの自分の席に座る。鞄から取り出した文庫本を開いて読み始めると、そこからは無音の世界。
僕はこの時間が好きで、だから朝早くから学校に来るようになった。
最初は僕が来ても誰もいなくて、でもいつからか鈴木くんが先に来ていることが多くなった。驚いて、何を言っていいのか分からなくてとりあえずおはよう、と声を掛けたら挨拶が返ってきて。
それからこうして挨拶を交わしたり、帰りにちょっとした話をしたりするようになったんだ。




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