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夢であれ4

「お許しを、っお許しを!神龍様っ!」

倒れたままの俺を放り、騎士達は胸に手を当て跪き頭を下げる。
ガタガタと震える身体と声が恐怖を物語っていて、その名前から相当自分もやばい状況だと分かって冷や汗が背中を伝う。
歩みを止めないドラゴンが、跪いて並んでいた騎士達をその尾で吹き飛ばした。
声もなく飛んでいく騎士達。一振りでのその威力に、ここで俺の命が終わることを悟り目を瞑る。

「、っ…………?」

だけど、いくら待っても衝撃は来ないまま。
恐る恐る目を開くと、ドラゴンの鼻先が至近距離にあって思わず尻餅をついた。
ぐあ、と口を開けたドラゴンに食べられるのだと身を硬くすると、慎重に近づいてきた歯が服に刺さる。びくりと身体を竦ませると、何故かそのまま歯に服を引っ掛けたまま歩いていく。
足を地面に伸ばしぶら下げられたまま扉の中に入っていくドラゴン、唖然としている自分。

「よく来たな、異世界の人間よ」
「……は、……はじめまして……?」

ここまでくるともう、キャパオーバーもいいとこで。
突然現れた髪の真っ白な男が、挨拶を返した俺にくすくす笑う。

「あ、の……」
「なんだ?」

未だドラゴンの歯にぶら下がったままの俺は、こくりと生唾を飲む。

「俺も……殺されるんです、か?」

さっきの騎士達はたぶん死んでるか、良くて瀕死だと思う。不法侵入したんだから仕方ないかもだけど、なら俺もそれに当て嵌まるはず。ドラゴンがおとなしくしているのも、きっと男が飼い主?だからだろうし。
じっと目を見つめて、その淡く赤い瞳に呑まれそうな錯覚に陥る。

「――死にたい……か?」

面白そうに目の奥が揺らめく。
脇に両手を差し込まれ、抱き上げるようにされドラゴンから男へ。
細身の身体からは信じられないほどの力強さで男の右腕に乗せられ、まるで小さな子供のよう。





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