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夢であれ3

進むにつれ、なんだか空気が綺麗に感じる。だけど重苦しい雰囲気でもあって。
けれど矛盾を考えてる暇もなく後ろからは足音。もういやだ、なんで俺がこんな目に……
涙でぼやけて、目先が歪む。今頃彼は地球のとき同様甘やかされているんだろう。
俺は一緒にいたくないって言ったのに。ありもしない難癖をつけられて、殴られ、挙句には殺されかけているなんて。
彼が光?彼が神子?……ふざけるな。俺には死神にしか思えない。

階段を降りきり、今までよりもどこか厳かな拓けた場所に出た。
大きな、俺の身長より何十倍も高く大きい両開きの扉があった。
戻ることはできない。なら行くしかない。震える足を叱咤したとき、

「待て!」
「あ、ぐっ……」

後ろから飛ばされた弓矢が肩に刺さった。
どうっと倒れた俺が薄目で追っ手を見ると、いつの間にか人数が増えていて。痛みと状況に堪えきれない涙が水溜りに落ちた。

「な、なんだ!?」

俺を押さえようと手を伸ばしたまま、騎士の一人が上擦った声で叫ぶ。
突然大きな揺れが襲い、同時にあの大きな扉がゴオォンと音を立てて開いたのだ。
声も出ないほど驚いた。だって扉の中には、大きな大きな白いドラゴンが……いたから。

「ヒッ……!」

騎士達が小さく悲鳴を上げた。
俺は改めてここがファンタジーな世界なんだと認識して、呆然とドラゴンを見つめる。

「誰の許しを得て此処へ来た」

ドラゴンが喋った!
低い地を這うような声に、心臓がうるさいほど胸をたたいてる。

「も、申し訳御座いません!子供が静止も聞かず侵入をっ……」
「この場で武器を抜き、血を流させた"お前達"に問うている」

目を瞑っていたドラゴンがのそりと起きる。
唸るように丸太のように太く鋭い歯を見せ、ズシンズシンとこちらに歩いてきて……。





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