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夢であれ2

そうして呆然としているうちに、見たことのない場所にいた。
鬱そうとした森の中。暗いわけじゃない、けれど明るいわけでもない中途半端な空の色。どう考えても異常事態で、立つに立てなかった。
かわりに彼のほうは「ここ、どこ!?」なんてきょろきょろ辺りを見回していて。
そうしているうちに馬の蹄の音みたいなのが聞こえてきて、六人の男が目の前に立ち塞がった。

「……二人?」

一番前にいた煌びやかな衣装を着た美形な男が、訝しげに目を眇める。
こんなときでも彼は、彼に好意を持つ人達曰く「天真爛漫」さを発揮して男の前へ出た。
まあそこからの流れはもう分かりきっていると思うけど。
男は彼の態度や容姿、"この場所にいる"ことから彼を「神子」と判断したらしい。
彼を自分の馬に乗せると、そのまま来た道を護衛だと思う騎士三人と戻っていく。
彼が俺のことを聞くが、男は知らん振り。彼は気にするように俺を見たけど、結局男に頬を撫でられ顔を赤くし視線を男へ。
残った二人の騎士は俺を見下ろし、腰に差していた剣を抜く。

「神子様と共に来たようだが、お前はここに必要ない」

反射的に後ろに走り出した俺を、騎士達は馬で追ってきた。
馬の足に俺が勝てるわけない。絶望と恐怖に、道を逸れ森の中を闇雲に走った。
体力の限界も近づいて、もう駄目だと思った瞬間目の前に突如古びた、でもどこか神秘的な建物が見えた。

「待て!待つんだ!!」

後ろからの静止を聞くはずもなく、入り口へ。中に入るとまるでRPGの世界のダンジョンのようで。
もしかしたら地下に抜け道があるかもしれない。そう思いどんどん地下に進んで走った。


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