「仲間になってすぐ別れという形にさせて申し訳ない…はるなも寂しいだろう」
「そんな…私のことよりっ船長をよろしくお願いします!」
「ははっ…ああ、しっかり鍛えさせてもらうよ」
レイリーは穏やかにそう笑って、はるなの頭を優しく撫でる。
振り向けば、先ほどハンコックから貰ったばかりのご飯を頬袋いっぱいに詰め込んで
まだまだと飲み込むルフィの姿が見えた。
大変な壁を乗り越えようと、食べることで活力を得ている姿に、横に座って食べるジンベエと二人勇ましくすら見えてはるなの胸は暖かくなる。
「ルフィ!」
私はハンコックさんの船で島を出るね」
「おう!おれはここで修行するな、おっさんにいっぱい強くしてもらうぞ!」
「私も……もうみんなの足を引っ張らないように、方法を探してみるね」
「……二年後、ちゃんと来いよ!」
「うん!」

ルフィに挨拶を終えたはるなは、次いでとレイリーに振り向く
「あと…あの、ローさんは?」
「彼ならもう船を出ると先ほどあちらから出ていったはずだが」
「っ…お礼を言ってきます!」
レイリーの言葉を受け走り出すと、先ほどまではるなが眠っていた…ポーラータンク号は影も形もなくなっていた、一足遅かったかと俯くと、きらりと光るライトが波の間に見えてはるなは咄嗟にそちらに走り寄る。
ゆっくりと甲板が波からあがり、ハッチからゆっくりと…探し人の姿が現れてはるなは声をあげ走り寄る。
「ローさんっ…よかった、お別れを言えないかと思いました」
「……いや、少し考えてててな」
ローはゆっくりと近づいて、岸に立つはるなを見上げる。怪我の容体を見たいのかと咄嗟に思ったはるなは得意げに腕をあげて元気な仕草を見せつけ笑いかけた。ローはそれを目を細めて口角をあげ、徐にはるなに手を伸ばす。
「はるな」
「?はい」
何も考えずに、はるなは伸ばした手に手を伸ばす。
「このままお前を連れていく」
「へっ」
咄嗟に、体が固まったがローにはその隙を拾うのは容易だった。怪我をした部分に触れないよう、能力であっという間にローの手のひらにあった石ころとはるなはすり替わり。岸壁に立っていたはるなはあっという間にローの胸の中へと落ちる。はるなは驚いて顔をあげるが、ローはさも当然かのようにはるなを抱き上げ、冷静に甲板からハッチへと歩き出す。暴れてはいけないと理解していたはるなは困ったように声を上げた。
「……ダメですよローさん、足手纏いになるだけですよ」
「俺が強くしてやるよ」
「……お気持ちは本当に嬉しいんですけど、でも私はもう、っひゃぁあ!?」

地面を蹴った瞬間、船の中へと二人はまた能力で入れ替わる。楽そうで油断ならない能力に目がまわると、そっとまたベッドに下ろされた、ローだけはまだはるなを看病人と見ているのだろう。
その優しさが余計胸をしめつけて、はるなは体を起こす。
「だめだ、寝てろ……もう船は出した、観念するんだな」
そう言って、両肩をそっとシーツに押し付けて頬を撫でられる。
「もうっ…もぉっ……!!!」

海賊って…本当に強引!!!!!
はるなは心の中でそう叫んだ。




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