「ミズミズ……え?……はるなあなた……悪魔の実の能力者なの…?」
ナミは信じられないとでも言うように狼狽えながらはるなに近づく。その指先に触れると、たしかに水に触れるようにはるなの手のひらの中に指が沈んでいった。ナミは感触に驚きながらも、でも、と言葉を続ける。
「そんなの…そんなのあり得るの?だって悪魔の実は”海”に嫌われる存在……はるな自身が水になれるなら」
「はい…私は海も操れます…それに、溺れることもありません」
「なっ…じゃあ弱点なしってこと!?そんな能力があったなんて…っ「なあ!はるながすげェのはわかったから!早くいこう!!」
急かすルフィの言葉に合わせたかのように、蔓が傾いていく。
おそらく下でゾロやワイパーたちが攻撃したはずだ。ナミは角度を確かめ、はるなに促す
「私は下に降りてみんなを避難させる!はるな、ルフィ……頼んだわよ!」
「おう!!」
「はい!!!」
ナミは雲を渡り雷を避けながらも下へと降りていく、ルフィがハンドルを握ったのを確認すると、はるなは両腕でウェイバーを掴み、足元の意識を集中させた。
「―――行きます!!!!」
足元の周りに熱気が集まると、ウェイバーはとたんに激しい音を立て前に進む、アクセルを踏んだルフィは左右のバランスを崩しそうになるも、気流を捕まえるとあとはジェットコースターのように蔦を駆け上がっていった。
にじりよる2人の姿を見たエネルは、煩わしそうに体を広げ、放電の仕草を取った。


「!!!」
「万雷=I!!」

巨大な雷が四方八方へと音を立てて広がっていく、雷鳴はまるで刀のように2人がのるウェイバーにも降り注ぐが、はるなはそれを風の縫い目を刺すように避け、時にはルフィが足蹴にして電撃をかわした。

「ヤハハハ!雷が効かずともここへ来れねば意味はないっ!!下へ落ちて雷迎≠フ完成を待て!!!!」
「っ…はるな!」
「うんっ……こんな高さっ…なんともない!!!!」

はるなは空気中の水蒸気を熱し一気に機体を上昇させる。激しい音を立てながらウェイバーは雷で焦げ落ちそうになる蔦から飛び上がり、逆流の滝に打ち上げられるように一気に加速していった。

「どいつもこいつも……!」
「黄金の鐘を渡せェエエエ!!!!」
「もうよい…ウンザリだ…国ごと消えろ!!!!雷迎=I!!!!!!」
「っ………ルフィ!!!中に入るよ!!!!」
「わかった!!!!!!」

ルフィは勢いよくウェイバーを蹴ると、はるなの体を掴んで雷雲の中に飛び込んでいく。
もしかしたら、自分のからでは体が蒸発して一瞬で死んでしまうのでは、という不安はよぎった。けれどもう、はるなはいくと決めていたのだ。ここまできて自分が足を引っ張って、……それで未来が変わるくらいなら、やれることはひとつしかない。

「ルフィ!中でその右手の金を振り回して!!!私が水蒸気を跳ね飛ばすから!!!!」
この巨大な雷雲も所詮は雲……水蒸気の塊だ、それならばそれらを私が打ち消し、中に溜まった電流のエネルギーを全てルフィの黄金で放電させてしまえばいい。
ルフィは歯を食いしばり右手をぐるりとネジのように回す。

「しっかりつかまってろはるな!!!ゴムゴムの花火――――黄金牡丹=I!!!!!」

ルフィの勢いに振り落とされそうになりながら回された腰の腕を掴みはるなは念じる、全ての空気たちが広く…遠くに弾け飛ぶように。雲たちが電気の過負荷に耐えられず摩擦と衝突を繰り返す音が鳴り響く、頭の中をかき回されているような激しい音が降り注ぐ。はるなは目を瞑って集中させた。


「消え去れっ……!!!!!!」
「晴れろ――――――!!!!!!!」






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