「なんだって!?アイサがあの大蛇の胃の中に!?…なんだってあのコはそんな変なトコに…!」
「幸いまだ入ってすぐなので無事だと思います!…私の仲間もいるので、救出してくれるはずです」
「そうかい……本当にありがとう、青海人にこんな助けられるなんて思っても見なかったよ」
「そんな…」
荊の中でオームVSゾロの戦いが繰り広げられる中、ラキはすくりと立ち上がってオームを一撃で薙ぎ倒したゾロの姿に驚く。
「あの”神官オーム”を倒すくらいだ…ワイパーもまだいる!諦めちゃいけなかったね…!」
「っ…はい!!ラキさん!」

ラキが浮かべた笑顔に思わず大きく頷いた瞬間、地震のような大きな音と共に雷鳴が響き渡った、刹那、巨大な光が破裂音と共に地響きを起こしあたり一面を貫いていく。

「……!?地盤が砕けた…!!」
「エネルっ!!奴しかいない!!遺跡が落ちるぞ!!!!」

「ラキさん捕まって!!!」
はるなは崩れていく足場から滑りそうになるラキを捕まえると雲をウェイバーに象りそこに乗せる。
流石に自由意志を持たせることは不可能だとわかっていたが、力関係を加えて”ここから離す”ことは可能のはずだ。
「っ…あんた…!?」
「下にエネルがいます!!!ラキさんが生きている事がバレたら真っ先に殺される!まだ他の気配に紛れて気づいていないうちにここから離れてください!!」
おそらくエネルは島全体の声を聞いている。
この攻撃が終わってすぐに確かめるはずだ。
その声の中にラキの声を見つけないように誤魔化せるかは賭けだったが…おそらく”死んでいない”の認識でいてくれるなら怪我の程度はわからないはず。
ラキはすぐに言葉を理解し頷いて雲のウェイバーを掴む。はるなが念じると瓦礫の隙間を縫ってウェイバーはシャンディアの村へと一直線に進んでいった。
巨大な瓦礫達と一緒に空気の層で身を包んで風のように地上に滑り降りながら、頭を真下にチョッパーを抱えながら落ちていくゾロを見つけ急いでそちらに近づいていく。地面まであとわずかというところでなんとかはるなはゾロとゾロに抱えられているチョッパーを空気で包んで地に打ちつけそうになるところを回避した。
「くっそ……死ぬとこだ!!!!助かったはるな……ここはどこだ?」
「い、いいの……あ、ロビンさん!」
「お探しの黄金都市よ2人とも…でも黄金はないわ」
「あ?」

ゾロとはるなが見渡すと、視線の先には煙の中で立ち尽くしているワイパーがいた。
その__大きな故郷の姿に、驚きをかくせないでいるのだ。

「……まさかここが………おれ達の故郷……」

聳え立つ巨大な遺跡、石を積み上げてできた歴史の層、何千人という人間が住んでいてもおかしくない”世界”がそこに広がっていた。
そして同じく故郷を見つけ感激したのだろう、大蛇は喜び仲間を探すも__いるはずのない空の遺跡を擦り周り、涙を浮かべ鳴き声を上げた。

「__うっとうしい蛇め…愚かなり”神の裁き”!!!」

エネルの雷に白い閃光が飛び散ると、ゾロが頭を抱え焦げていく蛇を見た。
「しまった!!!ナミが中に!!!!!」
「あれ!?ゾロ!!ロビンとはるなも……」
「そこかよ!!!お前いつの間に出たんだ!!」
「なぜ航海士さんがここに?」
「ナミさん!無事で良かったです!!!」

「いやまあ……私はいいんだけど…あの中ルフィがいるの!!!」
「「なんで?!??!?!」」
思わずゾロと合わせて叫んでしまい、はるなはやっぱりね…と頭を抱えた。
ルフィが胃の中でアイサと口論を重ねている間、ワイパーの銃撃をよけたエネルが滑稽そうに笑いながら丸い雲玉に座り込んで空中から当たりを見渡した。

「………戯れだ、他愛もないゲームさ、お前達がこの島に入って3時間が経過した時、82人のうち一体何人が無事立っていられれるかという”生き残りゲーム”!!この私も含めてな……途中参加者もいるがそれも認めている。私の予想は残り5人!……あと3分でその3時間が経つ___つまり今、この場に”7”人もいて貰っちゃあ困るというわけだ。神が”予言”を外すわけにはいくまい」
はるなの視線の隅では自らをカウントされて絶望にチョッパーを抱きかかえるナミが見える。
「___さて誰が消えてくれる…そっちで消し合うか、それとも私が手を下そうか」
「…………」

エネルの言葉に、一瞬面々は黙り込んだ。
ゾロは確かめるようにロビンとはるなに目をやる。
「……お前らどうだ」
「私はイヤよ」
「…私も、いやです!」
「おれもだよ」
「おれもごめんだな…」
「吾輩も断固拒否する!!」

それぞれが確かめ合ったところで全員が岩陰に隠れるナミへと振り返る。
もちろんとても戦う気なんてなかったはずだ、驚いて一瞬チョッパーを代わりに見せたナミはしどろもどろに言葉を返そうと岩陰から顔を覗かせたが、その時には既に4人__片手を構えエネルへと向き直っていた。

「お前が消えろ」

ゾロとワイパーの間に挟まれていたはるなは、2人の声に合わせて無意識に指をまっすぐとエネルへと向ける。
___宣戦布告、しちゃったなあこれ…。







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