“神の島”
82人のサバイバル―――
経過時間―――2時間
脱落者―――56名

“神の軍団”残り13人
シャンディア残り7人
麦わらの一味―――残り5人
”異世界人”―――1名

戦闘可能総数―――26人



「ワイパーさんっ……!どこに行くつもりなんですかっ…!?」
「神の社だ!そこにエネルがいる!!!……お前、なんでおれの名前知ってんだ」
「(アアッ)ガ…ガンホールさんから似た風貌の方の話を聞いていたので…!」
チッ ワイパーは思い浮かべた甲冑の老人の勝手な行動に苛立ちながらもくもくと木の隙間をぬって森をかけていく、腕の中に抱えたはるななんて子犬のように物ともせずスピードはあがる一方で、はるなは森を抜け童話のように天を貫かんばかりに高く伸びていくねじれた幹を見て目を見開く。
「まっ…私!下にいるほうがいいんじゃないですか!?」
「下には神官たちがうろついてやがる!どうせどこへ逃げてもエネルには見えてんだ!このまま行くぞ!」
「ひえええっ」
「この巨大豆蔓の頂上に”神の社”ーーエネルがいる!!決着をつけてやる…!!忌々しい400年の歴史に!!!」
険しい顔で突き進む彼にこれ以上の抑えは無意味と思いしり、はるなは思わず振り落とされんばかりの勢いで垂直に駆け上がる体をなんとかワイパーの体から落ちないように両腕を彼の太い首に回して縋り付いた。ぐんぐんと走るたびにあがるスピードと風の中で、好奇心とは名ばかりの出来心でつい真下に遠ざかっていく景色に息を呑んだ瞬間、ワイパーが同じく一瞬の気配に気づき咄嗟に担いだ銃をぐるりと動かせ、はるなを自分の傍に抱えるように転がして掴み上げる。はるなが驚いたと同時に、鋭い金属音が空気中に響き渡った。
「……!!!」
敵の位置を確認したワイパーがそのまま宮殿の跡地へと降り立つ。はるなを後ろに隠すように降ろすと、斬撃の正体を睨みつけた。
「……オーム!!!」
「ワイパー…それ以上蔓を登ると”神の社”へ到達する…誰が通過を許可したんだ!?」
ああ…!!この場面に出くわすことだけは避けたかったのに…!!!
はるなはワイパーの背中から、もう1人、鉄の音を鳴らし闊歩し現れた使者の姿を確認した。
「”神の社”などもはや目指しても無駄である!!」
「ガン・フォール!!」
甲高い雷鳥の嘶きが空を舞い、騎士が壊れて傾く宮殿の跡地に立ち塞がる。
「てめェがなぜここに…!!まだ”神”の座に未練があんのか!?」
「未練はないが…まだ責任を取り終えておらぬ…今この上にある”神の社”を見てきたところだ…惨劇……全壊しておったよ」
ガン・フォールの言葉に驚くワイパーを見つめ…空の騎士は震える怒りを抑え言葉を続ける。
エネルの目的を知っているはるなは、忍び寄る影に怯えながら、待ちぼうけた犬のように視線をうろつかせるばかりだった。
「勿論……エネルの姿はない、もはや要らぬ長物とそういう意味であろうな……」
ガン・フォールは剣を握りしめ、犬のホーリーとともにあぐらをかく男ーー四神官の1人、罪人を裁く四つの試練の中の一つ“鉄の試練”を司る男ーーーオームに叫ぶ。
「おぬしら一体何を望んでおるのだ!オーム!!!!」
ワイパーが驚きを隠せないでいると、衝撃が連続しまたすぐに石が割れ激しい音が空から降ってくる。はるなとワイパーの目の前に、ゾロが落ちてきたのだ。
はるなは先にそれを知っていたため、土煙があがる中急いで彼の元へと駆け寄る。
「ゾロ!!」
「アーーー…効いた…あンの鳥許さん……あ?はるなじゃねえか…」
「鼻血出てるよ…」
はるなが焦りながらも想像以上にボロボロの顔に触れると、ゾロは困ったように顔をそむけすくりと立ち上がる。
「なんでお前がここに…ていうかここは……!?」
「おぬし達までもここに…!」
「ここは遺跡の…えっと……」
はるなが言葉を澱ませると、言葉を塞ぐように再びけたたましい蛇の唸り声が響き渡る。ーーー役者がそろったのだ。

「アァ……見るからに凶暴そうなのがいるな…オイ黄金よこせ」
「やれやれ哀しいな、我が”鉄の試練”誰1人逃れられぬのに…!!」
「てめェら全員……邪魔をするなら排除するのみだ!!!」
「エネルの居所!!神隊の居所を教えてもらおうか!!!」
「ああ……蛇に食べられるのは嫌……蛇に食べられるのは嫌……!!!」


臨戦体制へと変わる男達の中に膝をつき、はるなはルフィに胃を殴られ続け悲痛な叫びを上げ続けるウワバミの雄叫びに両手を合わせた。


「まァ御仁方々言いてェ事は色々あろうが……主張したくばまずはここで生き残ることだ」


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