「摩訶不思議“紐の試練”………!!!」
「空の騎士!!!!!!」
「“神の島”入るはいいが我ら4神官の険しき試練…ちょっとやそっとで破れるものと思うな!!神・エネルは貴く──遠いお方だ」
「ウワアアアア!」
「ッ…だめっ! チョッパー!」
チョッパーを止めようと走り出すも遅く、身軽な彼は追いかけるようにシュラによって貫かれ、燃えながら雲の海へと落ちた空の騎士を追いかけ祭壇から飛び降りた。
けれどここは雲であっても海、チョッパーが無事で済むはずがない。何よりもここには空サメが無数真白の海雲に隠れ潜んでいることは周知だった。そしてそれはゾロを持ってしても"捌ききれない"と断念せざるをえない凶暴性を持って。
「あっ……!」
油断を見せた一瞬で、槍先が光のスピードではるなの肩を掠める、切れた衣服がはだけ、チョッパーが大きな泡音を立てて海に落ちるのと、空の騎士の相棒がシュラの鳥によって追いやられるのは同時だった。
「……オイオイあいつは動物系なんじゃねえのか?バカか」
「そう思ってるなら行かせて!もう勝負はついてるでしょう!」
「勝負?何を勘違いしてる……女、神の祭壇で生贄となるんだ、覚悟を決めろ」
シュラは残りの掃除を楽しむかのように槍の先ではだけた布をずらし、腰をつくはるなの体の上に仁王立ちする、見下ろす姿は神官なんて神聖なものではなくーーまるで虫けらを見るかのようだった。
「か、神様は……人に乱暴したりするものじゃないです……!」
立ちあがろうと両手をついて胸を上げた瞬間、鋒がフイ、と顔の前を抜けていく、あっという間に胸が晒され片手はシュラの脚に押し付けられ寝そべるように打ち伏せられ、はるなは目の前でしゃがみ込み曝け出された鎖骨をすべる指先に目を閉じる。
「やっ…」
「まるで戦い方をわかっちゃいねえ……神の側にいる女どものようだ…お前は青界の側女でもしてたのか?」
抑え込んでいた足を退けると、脇下に滑らせた手で力任せに持ち上げられる。首筋に噛みつかれて、まるで生贄というよりも“餌”にされているようだと思い知らされる。
「やぁっ……!やめて!」
のどもとに舌が触れるとぞわりと肌が泡立つのを、シュラは愉快そうに笑いながら心臓の上あたりに口付ける。
「”神“の戯れに身を差し出せ女……この祭壇で捧げる体は、我ら神官と神のものだ」
「あっ、……」
押さえ込まれた腰の服に手をかけられて、残りの服も全て引き裂かれそうな勢いで──……
「んんんん〜〜!」
「ゲダツ……何用だ」
そう、空気をぶち壊すように2人の前に降り立ったのは、もう一人の神官──ゲダツだった。
まずい、まずい、どうにか逃げないと、せめて海に、雲の海に
「ん」
「下唇噛んでちゃわかんねェつってんだろが!!……あ?」
すぐに、シュラとゲダツは視線を遠くへと向けた、はるなから離れ立ち上がると、ニヤリと口角をあげ、つぶやく。

「きたなシャンディア」

すぐに2人ははるなに一瞥をくれることもなく海を越えて森の向こうへと消えていった。
あまりにも一瞬の出来事で、はるなは奇跡的に助かったことに気づく前にすぐ、海に落ちた仲間のことを思い出す。
「そうだっ…チョッパー!どうしよう、どうしよう…私も入ったら溺れちゃう…」
でも行かないと、すぐに、飛び込まないと!
「えい!」
走り勢いをつけて飛び出し、船の淵から勢いをつけて外へと飛び出した瞬間、体が何かに引っかかったかのようにガクンと揺れる。
「うわあっ!えっ何!?」

ジョ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

振り向くとそこには、巨大な鳥が自分をつかみ上げていた。
「え!?食べられる!?」
はるなは慌てて暴れようとするも、賢い鳥はさも大人しくしろとでも首を振ってはるなを黙らせて、旋回した翼をゆっくりと船の上で下ろす。また船の中に逆戻りしてしまったはるなは、不審そうな顔で目の前で羽を閉じた鳥を見る。
「もしかして…行くなって言ってるの?」

ジョ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!

「でも、行かなきゃ、チョッパーと空の騎士…ピエールがっ」
その時、大きな泡音がまるで噴き上がるかのように音を立てて広がった。はるなが目を鳥の後ろへと向けると、巨大な彼の仲間であろう鳥たちが、自分の仲間を咥えて海の中から飛び出していた。



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