カウントダウン











Dramatic...24











モモンガの声へ続く様に、署長室に置かれた電伝虫が体ごと震えるかのように通信を受けた。先ほどまで署長になりたいと意気込んで座っていたハンニャバルが、即座に受話器へと手を伸ばす。

「ハイ、こちら署長室」
「なぜ貴様が出るんだ……!!」

重たく話すマゼランの恐らく吐息が、毒息となってハンニャバルのあたりを包んだ。ある程度の濃度や致死量を選んで作りだせるはずなのだろうが、色合いからして見るもおぞましい空気がハンニャバルを悶えさせる。それを片手でのけてマゼランは椅子へ座り直すと、改めて電伝虫を掴んだ。

「……何だと!?我がインペルダウンに侵入者!?映像をこっちへまわせ!!」
「そんなバカな!!監獄の歴史上、誰かの侵入を許した記憶はありません!!」
「こりゃ一大事ですぞ!!!署長責任ですぞ」

三人がそれぞれ異例の報告に声を荒げ息まいていたが、不審そうに立つモモンガをおいて、はるなとハンコックがちらと眼を合わせた。
侵入者と聞いて思いつく人間は互いにたった一人だ。
ここでのうのう彼らを見逃したら、今他の敵をまいているルフィを更に窮地に立たせてしまう。二人の仕事は出来る限り全員を連れ早くエースのもとへと行き、そして上までリフトを使い他の道の注意を逸らす事だ。ハンコックは険しい表情を一変させて、椅子で映像を待つマゼランの顔を見た。

「署長……わらわ早う囚人の元へ行きとう存じます……」

はるな、と小声でささやかれて、びくりと肩を揺らせたはるなは、思わず恥を捨ててハンコックの演技に釣られるように横で両手を合わせながら上目遣いにマゼランへと首をかしげる。
「だめですか……?」
「よし、行こう」
「署長!?大事件なんですけど!!?」

ガチャンと勢いよく受話器を電伝虫へと戻しマゼランは二人を連れる様に早足にリフトへと向かう。後ろで驚くハンニャバルとドミノは置かれた受話器を暫く見つめていたが、モモンガまでも時計を見さっさとリフトへ行ってしまったので、降りていく檻に気付き急いでその中へと入り込んだ。はるなにとっては正直ハンコック一人で十分事を進めたはずだと思ったが。
マゼランはハンコックと同じようにはるなにまでハート型にした目を向けているのだから、ハンコックのオーラがはるなにまで影響しているのだという事ではるなはとりあえず納得する事にした。







back



- ナノ -