Alea jacta est.


目が覚めたら、そこは海でした。
なんて、 冗談でもセンスのない話だったかな。コレ



「ここどこ………?」











事の起こりは二月の終わり。

春休みに入った大学一年生小嶋はるなは、休み前に渡された大量の課題に対する鬱憤は兎に角として、やっと迎えた長期休みにはしゃぎにはしゃいだろうと大学の友達と旅行の計画を立てていた。
夕方から上がり込んだファミレスでアイスティーと抹茶オレのコンボで延々溢れるまま話し込み、恋愛も学業も愚痴も何もかもドリンクバーと共に時間にながし。
行き着く先は華のパリと意気込んでいた。
お金はこれでも土日の居酒屋バイトを一年、そして高校から僅かな時間でコツコツと溜めてきた分がある。洋服は買えずともあちらで新しく買うにはちょうどいい、外食を抜いたのはいいダイエットになったし、どんな我慢だってしてのけたのだ。
初めての海外旅行に、はるなはどうしようもなくはしゃいでいた。

3月の初めに待ちかまえた5泊7日の旅へ向け、たわいもない話は入れ込み、結局夜中の閉店まで居座り漸く仲間と別れ、自転車に乗りさあ帰ろうという地元道。


ライトはちゃんと付けていたのに、それでも赤信号に突っ込んでくるという所が東京らしい。


はるなは体に痛みより先に熱が籠もるのがわかった。車にひかれたのか、気付けば体が浮いて、目の前に光が散らばった。




(ああ、華のパリ、行きたかった……)




19歳、お酒の味もまだ知らない、小嶋はるなの走馬灯である。












(賽は投げられた)

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