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「イワンさんの髪の色って薄くて綺麗ですよね」

トレーニングも一段落してなまえさんと日本文化について談笑していると、ふと思い出したように彼女はそう言った。突然の言葉に僕はすぐに反応出来ずに呆気にとられる。そんなことを言われたのは初めてだ。個人的に外見にはあまり自信がないし、というか外見自体にコンプレックスを持ちまくっている僕にとっては喜んでいいのか微妙なところだ。困り顔の僕を見てなまえさんは申し訳なさそうな表情を浮かべて口を開く。

「すいません、男の人ってそういうこと言われるの嫌ですよね」
「いえ…僕、そんな褒められるような外見とかしてないですから…ちょっとびっくりしちゃったっていうか…」

本来は喜ぶべきなんだろうなぁ。生まれてこのかた目つきが悪い所為で何度も怖い人達に絡まれたし、アカデミーでも多少嫌な目にあったことがある。そんな経験を通すと素直に喜べないのが何とも悲しいところだ。

「へぇー、でも個人的にイワンさん顔整ってますからもうちょっと自信持てば女の子にモッテモテのウハウハですよ」
「別にそんな女の子にもてたいとかは思ってないです…」