象牙の色に染まった窓からこぼれる、絹糸のようなやわらかい朝の陽。それに優しく背を撫でられながら、そして、時折響めく、小鳥たちの清らかなさえずりに耳を傾けながら、俺はぼんやりと隣で眠る恋人の寝顔を眺めていた。…普段の凜々とした姿はどこへやら、それは幼い子供のようにあどけない。が、


「少し、無防備すぎやしないか」


愛らしいパジャマから覗く、まっさらな肌。石鹸の優しい匂いがただよう、色の鮮やかな黒髪。たまらない、目に毒だ。恋人である俺のみぞ知る彼女の姿。その優越感と愛おしさで、自然と口元が綻ぶ。
あふれる思いそのままに、俺は彼女の細くてしなやかな指をそっと掬い、そして、そこへちゅ、と唇を落とした。ああ、あたたかい。胸の奥が木漏れ日に照らされたかのように、ほんのりと熱を灯す。


……よし、可愛い恋人に美味い朝ごはんでも作ろうか。


俺は彼女の前髪をさらりと撫で上げ、「早く起きてこいよ、お姫様」と、小さなおでこにキスを落とした。

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