渡る静寂をあやなすかのように響めく、彼の心音。それは至極悠然としていて、生≠主張するかのように、ひとつひとつが重く、脈打っていた。そんな彼の声なき声が届く度に、ほっと安らぐような温かさに包まれる。しかし、それと共に、どきどきしているのは私だけか、と彼の余裕を感じて、悔しくて。その腹いせに、私は「総長、そろそろ行かなきゃ」と彼の胸板をそっと押し返した。


「だーめ、もうちょっと」


しかし、彼は諭すように、こつんとおでこを合わせながら、そう囁いてきて。そして逃すまいと私を抱きしめる腕の力がいっそう強くなった。そのひとつひとつの言動が、砂糖のように甘く、愛おしい。

ああ、何だか、溶けてしまいそう。
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