やあこんにちはカドルス君、今日もとってもいい天気だね、絶好の散歩日和――おや、どうしたんだい。え、しゃっくりが止まらないだって?それで止めて欲しいのかい?ははは、そんなのお安いご用さ!……とはいえ、驚かすとか首を折り曲げるとかは、効果があるのかないのかよくわからない、ちょっと古い民間療法だよね。ついでに独創性もないし面白味もないよ。うーん、……そうだ!これならいいよね。うんうん。いくよカドルス君、せーの。
……止まったよカドルス君、よかった!私にかかれば、しゃっくりなんか物の数じゃないさ。なにせ私はヒーローだからね。腹を開いて横隔膜を直接掴んで止めればいい。しゃっくりなんてただの横隔膜の痙攣なのだし。ああいいことしたなあ…………おや?
「死んでいるのかいカドルス君?」
なあんだ。それならそうと、はやく言ってくれれば良かったのに!
#英雄と抱擁
久しぶりだね、ナッティー君。君はまったくもう本当に砂糖依存症だね、歩いているときくらい棒付きキャンディを舐めるのを止めないと…………ほら言わんこっちゃない。あーあ。あのねぇ、君が知ってるかは知らないけど、この前だってトゥーシー君が……あれトゥーシー君だっけ、それとも別の誰かだったかなあ。まあいいけど、棒付きキャンディで酷い目にあってただろう。目だけに。ははは。いやいやちょっとしたジョークだよ。そんなに白い目で見なくても……ってそれは単なる白目か。まったく、だから言ったじゃないか。棒付きキャンディを舐めながら歩いたらイタイ目にあうぞ。次からはなるべく死なないように気をつけなさい。わかったかいナッティー君、返事は?
……ああ、死んでるんだっけ。
#英雄と糖尿
今日もいい一日だった。やっぱり人助けをするのは気持ちがいいし、みんなの笑顔を見れるのはとても嬉しいことだ。まあ例え誰からも感謝されなくたって、私は全然構わないけどね。感謝されたくてやっていることじゃない、私がやりたくてやっているだけなんだから。ヒーローやってるのが嫌になることだって、そりゃあないわけじゃないよ。私だって生身で、感情と血が通ってるわけだし。ただそこらの人より私はちょっぴり万能だから、せっかくのその能力を使わないのは勿体ない。そんなわけで私は明日もヒーローだ。そろそろ寝ようかな。おや悲鳴。北西に二キロメートル、あの崖か。あそこは危ないからなあ。ふむふむ。明日あたり看板でも立てて置いてあげよう。ああなんだか眠くなってきた。もう寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
#英雄
ふふふの魔法
2010.12.09 title by にやり