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「どうしていつもこうなんだい、この前はこの子の首を絞めたその前はあの子の腹を裂いたその前の前は首を撥ねたしその前の前の前は手榴弾を握らせたその前の前の前の前は轢き殺したね、撲殺圧殺刺殺絞殺焼殺爆殺、全部覚えているよ何一つ忘れてはいないどうして、どうしていつもいつもいつもいつも!どうしていつも殺した後に思い出すんだい、何故私はいつも笑っていられるんだい、もっと早く思い出していれば同じことを繰り返しはしないのに、私は!教えてくれヒーローどうしたら私は思い出す、すべてのことを、過ちを犯してしまう前に!」

「それは無理な相談だ、だって君、平穏な日々でそんなことを思い出してご覧。きっと罪の意識に耐え切れなくなった君は自殺を図るか発狂するよ。そしたらカチッ!世界はリセット!全くもってナンセンスな話じゃないか。だからね軍人君、君はさっぱり全て忘れてしまう方がいい、むしろ忘れてしまわなければいけないんだよ。どんなに思い出したとき辛くったってそんなものは一時的なものだからね。可哀相な軍人君。苦しいね、辛いね、残念ながら私にはその苦しみがわからないけれど、それでも君を贖罪すら赦されない地獄から救ってあげることはできるよ。例えそれがつかの間の、もっと言うなら贋物の安息だとしてもね。ふふ、神でもないのに他人を『救う』なんて傲慢かい?いいや、君の信仰に口を挟む気はないけれど、この世界で最も神に近いのは間違いなくこの私だよ。万能という意味に置いてはね。あくまで近いというだけなのだけど――。おや、私としたことが少し喋り過ぎたみたいだね。すまない軍人君、これ以上苦しみを長引かせはしない。安心したまえ、綺麗さっぱり殺してあげよう。痛みもないよ。一瞬だ。さあ目を閉じて、君の神様には祈ったかい?なんなら僕に祈ったっていいよ。ああ勿論、冗談に決まっているけれどね――」



神様ごっこ
2010.05.03




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